高齢の親の心強いアシスタントになる!?
認知症の初期症状にも役立つ!「スマートスピーカー」〜後編〜

AIアシスタントを搭載した「スマートスピーカー」「スマートディスプレイ」
実は使い方次第で、高齢者が抱える様々な課題を解決してくれる強力なサポートアイテムになるんです。

前編に引き続き、Amazonの「Echoシリーズ」でどんなことができるか、ご紹介します。

1.一人暮らしの高齢者を“声がけ”でサポート

オンラインカレンダーと連携させて、通院日程や来客予定などを通知してもらう方法を前回ご紹介しましたが、工夫次第でより細やかなサポートにも使えます。

私の母は曜日感覚も失われ、認知症が進んだ後には何かをしていても途中で忘れてしまうこともよくありました。
結果、週4回のデイサービスのための外出準備を失念し、施設のお迎えスタッフのチャイムが鳴ってから慌てて着替えるなんてことがありました。私が実家に滞在している時なら声がけができるのですが、一人だとついうっかりしてしまったようです。

そんな時には曜日&時間をトリガーにメッセージを伝える設定です。

これがスマホのアレクサアプリの「定型アクション」設定画面です。
曜日と時間を設定して、決まったメッセージを読み上げてもらうというものです。

スピーカー「ふみこさん、今日は火曜日でデイサービスの日です。9時少し前にお迎えがきます。今8時30分なので、そろそろ外出準備を始めましょう」
スピーカー「ふみこさん、今8時45分です。そろそろ玄関に移動してお迎えを待ちましょう」

こんな感じです。

2回、3回と重ねて促すことで、着替えや外出準備、そしてトイレを済ませて玄関で待っておくという一連流れをスムーズに促してくれますし、途中で忘れてしまっても再度のリマインドで思い出せます。

認知症になっていなくても、日中も寝ている時間が長い高齢者の場合、今が朝なのか夕方なのかや時間がわからなくなってしまうことも多いもの。それによって食事の回数も減ってしまうという話も聞きます。

そんな時でも「昼12時になりました。そろそろ昼食の時間です」「夜19時になりました。寝る準備を始めましょう」などのメッセージを登録しておくと、それが一日のリズムをキープしてくれる役割を果たします。


もちろん食後のお薬や「燃えるごみの日」リマインドにも有効です。
「あら、高齢者じゃないけど、私もよくゴミ出しを忘れちゃうわ」
という方がいるかもしれませんね。実は私もそうなんです。

そんな方は、ぜひスマートスピーカーを一個、ご自身のために買って使ってみてください。
私はごみの日はもちろん、昼食や夕食の時間、毎日のエクササイズなどたくさんのルーティンを登録して、スマートスピーカーにリマインドしてもらっています。

認知症になった親の介護をしながら、「自分もいずれこうなってしまうのか」と憂鬱になったこともありますが、こうしたスマート製品やAIを使いこなしていけば、多少認知機能が落ちても、なんとかなる気がします。そのためにも、早めに使い始めることが肝心です。

2.スマートリモコンと連携させて声だけでエアコンや照明操作

スマートスピーカーやスマートディスプレイは、何かを質問すると答えてくれるだけではありません。
声だけで家電製品の操作をすることもできるんです。

たとえばAmazonのEchoシリーズ製品の場合、搭載されているAIアシスタント「アレクサ」に対応したエアコンやテレビ、照明器具などを声だけで操作できます。最初だけ、スマホアプリを使っての設定が必要ですが、次からはスマホは必要ありません。

実家にある家電製品がアレクサ対応でなくても大丈夫。
その場合には、以前ご紹介した「スマートリモコン」を使えばいいのです。

これはスマートホーム製品を数多くだしているSwitchBot社のスマートリモコン「SwitchBotハブミニ」です。
エアコンやテレビ、照明器具、除湿乾燥機など、赤外線リモコンで操作できる製品のほとんどを、この小さな箱から発信する赤外線で操作することができる製品です。

これ単体で使う場合には、スマホアプリの画面がリモコン替わりになるのですが、スマートスピーカーと連携させることで、声でエアコンやテレビのON/OFFができるようになるのです。

利用者「アレクサ、エアコンをつけて」
スピーカー「はい」(ピピッ)

利用者「アレクサ、テレビを3チャンネルに変えて」
スピーカー「はい」

こんな感じです。

古い家だと、照明器具に赤外線リモコンがついておらず、壁のスイッチのみという場合もあるかなと思いますが、そんな時でも「SwitchBotボット」などの製品を活用すれば、壁スイッチを物理的に押して照明の操作も音声コントロールでできるようになります。

高齢者の場合、認知症などでリモコンやスマホなどボタンがたくさんついているものの操作が苦手になったり、あるいは頻繁にリモコンが見当たらなくなり室内を探し回ることが増えてしまいます。
そんな時、音声でもエアコンやテレビをつけたり消したりできるようにしておくと、無駄なストレスを溜めずに済むでしょう。

3.スマートディスプレイならビデオ通話でバーチャル同居も

もうひとつ、とってもおススメの使い方があります。
それはビデオ通話です。

Amazonのスマートディスプレイ「Echo Show」シリーズは、ディスプレイ上部にカメラがついていて、お互いの顔を映し出してのビデオ通話が簡単にできるのです。

もちろん同じことは、LINEなどスマホアプリでもできます。
ただスマホの場合、アプリ画面での操作が必要ですし、スマホを手に持っての会話になりますので、用件がが終われば通話を終了させることになります。

スマートディスプレイなら、「アレクサ、娘に電話して」など声だけでスタートできますし、ハンズフリーで会話ができます。

私は、毎朝、母が朝食をとっているだろうタイミングでビデオ通話をし、ちょっと世間話などした後は会話が途絶えてもしばらくつなぎっぱなしにしていました。母はテレビを見ながら朝食を食べ、私はコーヒーを飲みながらメールチェックなど。

そしてテレビを見ていた母から笑い声が聞こえると「何か面白い番組でもやってるの?」と話しかけ、またちょっと会話が始まる──
そんな使い方でした。今思えば、つかの間のバーチャル同居状態です。

ちなみに双方がEcho Showを持っていなくても、スマホやタブレットのアレクサアプリでビデオ通話はできます。
離れて暮らすお孫さんと顔を見ながらの会話なんてのも、きっと喜んでもらえるでしょう。

最新の「Echo Show 5」第三世代モデルは12,980円(2024年月9日時点)。月額利用料などはかかりません。

夏休みの帰省の際にお土産として持参して、初期設定とレクチャーを済ませてくるのもいいのではないでしょうか。