「スマートスピーカー」をご存じでしょうか。
音楽を聴くための製品と思っている方も多いのですが、実はアイディア次第でいろいろな用途に使える便利アイテムなんです。
しかもこれ、「認知症が始まっているかも」という高齢者との相性が抜群!まるで専属アシスタントのようにサポートしてくれるのです。
今回はそんな「スマートスピーカー」そして「スマートディスプレイ」で、高齢の親の日常生活をサポートする方法をご紹介します。
1.スマートスピーカーとは
スマートスピーカー、見た目はこんな感じです。
手のひらにすっぽり収まるサイズなので、テーブルの上はもちろん、ベッドの枕近くに置いても邪魔になりません。
通常、スピーカーというと音楽プレーヤーやDVDプレーヤーなど他の製品と接続して音を流すものですが、このスマートスピーカーは基本的に単体で使います。
Wi-Fi経由でインターネットと接続し、スマホアプリで初期設定を行うと、その後は声だけで操作してインターネットを利用できるようになります。
たとえば・・・
利用者「アレクサ、今日は何曜日?」
スピーカー「2024年7月30日は火曜日です」
利用者「アレクサ、英語でクマを何というの?」
スピーカー「クマを英語で言うと『bears(ベアーズ)』」
利用者「OK Google、今日の天気を教えて」
スピーカー「今日の○○市は予想最高気温34度、最低気温26度で曇りでしょう」
利用者「OK Google、ジャズを流して」
スピーカー「YouTubeミュージックのジャズステーションを再生します」
こんな感じです。
スマートスピーカーには「AIアシスタント」が搭載されていて、人が話しかけるとその内容をAIが判別して答えを返してくれるのです。
いちいちスマホアプリやパソコンを起動して、必要な情報を文字で打ち込まなくても、話しかけるだけで答えが返ってくるのでとっても便利。特にスマホやパソコンが苦手という人にとっては非常に重宝します。
このスピーカーに小さなモニターがついた製品もあり、「スマートディスプレイ」とか「モニター付きスマートスピーカー」などと呼ばれています。
これはAmazonのスマートディスプレイ「Echo Show 5」です。
昨年他界した私の母は軽度の認知症で、今日が何日で何曜日なのかをたびたび勘違いしてしまう「日時見当識障害」を抱えていました。そんな母にとって頼れる相棒がこの「Echo Show 5」でした。
母「アレクサ、今日の予定は?」
スピーカー「ふみこさん、今日は予定が2件あります。午前8時に・・・」
生前、一日に何回もこんな質問をしていたことが履歴に残っていました。
それまで、日付を勘違いして通院予約の日だと思い込み、タクシーで病院に向かっては落ち込んで帰ってくることが頻繁にありましたが、スマートスピーカーの導入によりそんな失敗もなくなり、ストレスも軽減されたみたいです。
2.Amazonのアレクサが搭載された「Echo」シリーズ製品
スマートスピーカーやスマートディスプレイは、数社から販売されており種類も増えていますが、中でも人気なのがAmazonの「Echoシリーズ」、そしてGoogleの「Google Nestシリーズ」です。
こちらはAmazonが販売するスマートスピーカー「Echo」シリーズ製品で、AIアシスタント「アレクサ」が搭載されています。
個人的におススメなのがAmazonのモニター付き「Echo Showシリーズ」です。
なぜならエントリーモデルの「Echo Show 5」はじめ、全製品にカメラが内蔵されており、ビデオ通話も簡単に利用できるためです。
親が高齢になると、今まで使えていたスマホ操作がちょっと苦手になったり、時には電話をしてもなかなかでてくれずヤキモキさせられることがあります。
同世代の友人たちからも「いくら電話しても出てくれず、熱中症になったのではと心配する」という話を聞きます。
このEcho Showシリーズをリビングなどに置いておけば、ビデオ通話でいつでもすぐ顔を見ての会話ができます。
また親側からも声だけで家族との通話を始めることができるので、転倒などで身動きがとれなくなってしまった時に助けを呼ぶのに使うこともできます。
AmazonのEchoシリーズ製品は、セール時に大幅ディスカウントされますので、リビングにはEcho Showを、寝室などには安価なEcho Popをと複数台買って使うのもありです。
3.オンラインカレンダーと連携させてスケジュール管理に
「でもうちの親にこんな最新機器、使いこなせるかしら」
と思った方もいるかもしれません。
大丈夫です。設定からすべて自分でやるとなったら大変ですが、初期設定やスケジュールの登録などちょっとややこしい部分は家族が行い、親本人は聞きたいことを声にだして言えばいいだけにするんです。
ここからはAmazonの「Echo Show 5」を例に具体的な使い方を紹介します。
まずスマホに「アレクサ」アプリをインストールして、スマートスピーカー「Echo Show 5」を登録します。
次に設定でオンラインカレンダーと連携させます。
私は普段Googleカレンダーを使っているので、母用のGoogleアカウントを作り、そのGoogleカレンダーと連携させました。
そしてスケジュールを登録していきます。
デイサービスなど毎週の予定は、繰り返し設定で登録できます。
この状態で、「Echo Show 5」に「アレクサ、今日の予定は?」「アレクサ、来週の予定は?」などと質問すると、予定を音声と画面テキストで教えてくれます。
スマホアプリで「定型アクション」を設定すれば、さらにもう一歩進んだ使い方ができます。
本人がわざわざ「今日の予定は?」と聞かなくても、毎朝決まった時間にその日の予定を読み上げてもらえるのです。
起きる時間が毎日まちまちという場合には、トリガー(何か動作を行うきっかけになるもの)を、Echo Show 5上部カメラが動体検知したタイミングに設定します。
そうすれば、親が起きてリビングにやってきた時に
「ふみこさん、おはようございます。今日は○月○日○曜日です。今日は2件の予定があります。8時に・・・」など、自動的にその日の日付や予定、天気予報などを読み上げてくれるのです。
後編では、さらに一歩進んだ活用法をご紹介いたします。