「実家スマートホーム化」で高齢の親を見守ってサポートする方法

今年のお盆時期には、新型コロナ禍でなかなか実現させられなかった「家族そろっての帰省」をする方も多いと思います。

そんな帰省時こそチャンス!
実家をスマートホーム化して、遠隔で親を見守りサポートできるようにしませんか。

「実家をスマートホーム化?どういうこと??」

と思った方のため、「ITを活用した親見守り」の具体策として、実家をスマートホーム化するメリットとその一例をご紹介したいと思います。

■離れていてもできることを増やす

じじ

元気だと思っている親も、ある時急にがくっと身体が弱り始めたり、もの忘れなどが急激に進んで「もしかしたら認知症が始まっているのでは」と心配になったりすることがあります。実際、外出したり人と会ったりする機会が激減した新型コロナ禍で、認知機能を低下させてしまったり、筋力が衰えてしまったりした高齢者は少なくないようです。

新型コロナで移動に制限がかかる事態は終わりましたが、いつまた同じようなパンデミックが起きないとは限りません。仕事や育児でそれほど頻繁には帰省できないという方も多いでしょう。

だったら、「離れていてもできることを増やす」ための準備と工夫が肝心です。

前回の記事でも書きましたが、高齢の親が抱えるリスクには「熱中症」「転倒・骨折」「脳血管疾患など急な発病」、さらに認知症による様々な課題や悪質な犯罪者に狙われやすいといったこともあります。

例えば何も準備をしていなかったら、猛暑で高齢者の熱中症注意喚起がでていても、「お母さん、ちゃんとエアコン付けてよ」と電話する以外の方法がありません。日中電話しても出てくれない場合には、ハラハラしながら何度も電話をかけ続けるしかなくなります。

でも、ちょっとした製品を導入して事前に設定しておけば、遠く離れた実家のリビングや寝室の室温だってインターネット経由で確認できますし、それに連動してエアコンを自動でONにする設定だって可能です。電話がつながらなくても、親がちゃんとトイレに行ったり家の中を移動していることをスマホアプリで確認できれば、無駄に心配せずに済み、「なんで電話に出てくれないのよ、どれだけ心配したか」と後で八つ当たりすることもなくなります。

もちろんベッドから落ちた親に手を貸して起こすことは、インターネット経由ではできません。でもその状況を遠隔で確認し、「スマートロック」で玄関のカギを遠隔解錠できれば、近所の人に連絡して、家に入って親を助けてもらうことだってできます。

■「実家スマートホーム化」という選択肢

スマートホームとは、家の中のエアコンやテレビなどの家電製品や照明機器、空調設備などをインターネット経由で操作できるようにしたり、相互に連携させ自動化させたりできる、最先端の居住空間をさします。例えば人がいちいちエアコンを操作しなくても、時間や天候、家族の動きなどに応じて常に最適な室温をキープするようになっていたり、家族全員が外出をすれば自動で防犯システムを稼働させたり、起きる時間にあわせて照明の明るさやカーテンの開け閉めまで自動で・・・なんてこともできます。

「実家の家電製品は古いものばかりで、そんなことは無理」

と思うかもしれませんが、実は数千円の「スマートホーム製品」を後付けするだけで、そうした遠隔操作や自動化を実現できるんです。

たとえばスマートリモコンをリビングに設置してWi-Fi接続しておけば、エアコンやテレビ、その他リモコンで操作できる家電製品のほとんどを、遠隔・自動で操作可能にしてくれます。

これとスマート温湿度計を組み合わせることで、離れた場所からでもスマホで簡単に実家リビングの室温を確認できますし、エアコンをつけて室温をさげることもできます。親にいちいち「エアコン付けた?」と電話しまくらなくても、28度を超えたらスマホに通知がくると同時に、エアコンを自動でONにする設定にしておけば安心です。

人感センサーも電池で数か月もつ製品が手軽な価格で売られています。本来はエアコンを自動でON-OFFするトリガーとして使ったり、防犯用途で使うためのものですが、トイレなど生活導線上に設置すれば、親の安否確認にも活用できます。

■高齢者だけが暮らす家は犯罪者にロックオンされやすい

安否確認だけじゃありません。「スマートホーム化」は、犯罪から親と実家を守る効果も期待できます。
特殊詐欺や悪質なリフォーム詐欺など、悪意ある人に狙われがちなのも高齢者。とりわけ高齢者の一人暮らしはターゲットになりやすく、実際に認知機能が低下すると、判断を瞬時に下すことが苦手になってしまい、結果、言葉巧みに誘導する相手に操られやすくなってしまいます。

「ちょっと近くを通った者なんですが、おたくの屋根の瓦、浮き上がっているのが見えて気になっちゃって」

こうして玄関に入り込んだ人が、時間もあるのでと親切心を装って屋根の無料点検を提案し、「台風シーズンも来るし、このままじゃ危ない」と高額のリフォーム料金を提示して契約書にサインをさせてしまうということはよくあります。

私自身、実家帰省時に何度となく、こうした作業着姿の“たまたま前を通りかかった”男性の来訪を受けました。認知症の初期症状がでていた母が一人暮らししていたので、ロックオンされていたのかもしれません。

そこで、Wi-Fiでインターネット接続し、スマホで来客応対できるスマートドアベルを玄関に取り付けました。そして母に了承をもらい、明らかに怪しい飛び込み営業と思われる相手の時には私が応対するようにしたのです。すると数か月後にはそうした訪問はほとんどなくなりました。今考えると、いろいろな人が来ていましたが、全部同じ業者に雇われた人達だったのかもしれません。

■数日間の帰省でもすべてセットアップ可能

「そんなものがあるなら、うちの実家にも取り付けたい」と思い始めた方もいるのではないでしょうか。

実家の見守りに活用できるスマートホーム化製品をここでは「見守りテック」と呼ぶことにしますが、実はそれほど高価なものではありません。
たとえばスマートリモコンでは、「SwitchBotハブミニ」という製品が人気ですが、5,480円です(Amazon調べ/2023年8月6日時点/以下同様)。そして人感センサーは2,780円。Amazonグループの会社の製品で「Ring Indoor Cam」というネットワークカメラは4,980円です。

スマートロックやスマートドアベルなどは1~2万円前後と少し高くなりますが、設置すれば本当に便利なものです。

「でも実家にはインターネット環境がなくて無理・・・」

いえいえ、それで諦めちゃダメです。何も光回線インターネットまで必要ないのですから。
最近は格安スマホ会社のSIMカードをSIMフリーのWi-Fiルーターに挿入して手軽かつ低コストのインターネット環境を作る人も増えています。月額定額制のポケット型Wi-FiサービスやWiMaxなども利用エリアが拡大しています。

そうしたサービスを使えば、自宅で各製品をインターネット回線と接続して初期設定、テストまですべて済ませ、帰省時には各製品を配置してコンセントを差し込むだけですぐ使えるようになります。

「最近物騒な事件も多いし、いつ何が起こるかわからない。防犯にも見守りにもなる最新製品を入れない?」

そんな風に親を説得して、まずはこの夏の帰省で「実家スマートホーム化」を始めてみませんか?

次回から、ネットワークカメラやスマートリモコンなど、各製品のタイプや選び方、活用法などを順番に紹介していきます。