この連載では、ケアマネジャーである筆者が、介護に関する知識や情報、親の介護を少しでもラクにするためのヒントをわかりやすくご紹介します。
Q:同居する母(78歳)が要介護認定を申請したところ、要介護2に認定されました。
要介護2とはどういう状態で、どんな介護サービスが利用できるのでしょうか。また、要介護2でも特別養護老人ホームに入れますか?
A:要介護2は、要介護1〜5のなかで2番目に低い段階です。
軽度の状態ではあるものの、日常生活の中で見守りや介助が必要な場面が増えてきます。
今回は、要介護2の状態や認定基準、要介護2の方が受けられる介護サービスや入所できる施設についてご紹介します。
1.要介護2とは?
どのような状態を要介護2というのでしょうか?
要介護2の状態
要介護2は、見守りや部分的な介助があれば自立した日常生活を送ることができる状態です。
具体的には立ち上がりや歩行などが自力でできない場合が多く、排泄や入浴などの一部、あるいは多くの部分に介護が必要です。
理解力の低下や認知症の初期症状が見られることもあり、調理や内服薬の管理、お金の管理などが難しくなります。
要介護2の認定基準
要介護2の認定基準は、要介護認定基準時間が「1日50分以上70分未満」であるとされています。
要介護認定等基準時間とは「その人にかかる介護の手間」を時間に換算して評価したもので、要介護度認定を行う際の基準のひとつとして用いられています。
要支援1〜要介護5の要介護認定等基準時間は以下のようになっています。
要介護度 | 要介護認定等基準時間 |
---|---|
要支援1 | 1日25分以上32分未満 |
要支援2 | 1日32分以上50分未満 |
要介護1 | 1日32分以上50分未満 |
要介護2 | 1日50分以上70分未満 |
要介護3 | 1日70分以上90分未満 |
要介護4 | 1日90分以上110分未満 |
要介護5 | 1日110分以上 |
(参考:厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」)
要介護1との違い
要介護1は要介護2よりも軽度の状態です。
立ち上がりや歩行が少し不安定なため、入浴や排泄などに部分的な介護が必要ですが、食事などの日常生活のほとんどを自分で行うことができます。
一方で要介護2は、入浴や排泄などに部分的な介護が必要です。
立ち上がりや歩行も自力では難しいことが多く、理解力も低下するため、要介護1よりも介助や見守りを多く必要とします。
要介護3との違い
要介護3は、要介護2よりもさらに心身の状態が悪化します。
要介護2では部分的だった介助が、要介護3では、立ち上がりや歩行をはじめ、食事や入浴、排泄、衣類の着脱などにおいて、全面的な介護が必要です。
理解力・思考力もさらに低下し、認知症による徘徊や妄想などの症状も目立ってくる人もいます。
2.要介護2の方が受けられる在宅介護サービス
要介護2の方が、在宅介護で利用できる介護サービスは以下の通りです。
■訪問型サービス
・訪問介護(ホームヘルプ)
・訪問入浴介護
・定期巡回サービス
・随時対応サービス
・訪問看護
・訪問リハビリテーション
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・居宅療養管理指導
■通所型サービス
・通所介護(デイサービス)
・通所リハビリテーション(デイケア)
・地域密着型通所介護
・療養通所介護
・認知症対応型通所介護
■宿泊型サービス
・短期入所生活介護
・短期入所療養介護
■複合型サービス
・小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護
■生活環境を整えるサービス
・福祉用具貸与
・特定福祉用具販売
※要介護2の方がレンタルできる福祉用具
車椅子、車椅子付属品、特殊寝台(介護ベッド)、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換機、歩行器、歩行補助杖、手すり、スロープ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト、自動排泄処理装置
要介護2の区分支給限度額
介護保険で在宅介護サービスを利用する場合、1ヶ月間に所得に応じた1〜3割の自己負担で受けられるサービスの量が決められています。
このことを「区分支給限度額」と言い、要介護2では、以下のようになります。
要介護2 | 支給限度額 | 自己負担額1割 | 自己負担額2割 | 自己負担額1割 |
19万7050円 | 1万9705円 | 3万9410円 | 5万9115円 |
※1単位=10円の地域の場合
要介護2で自己負担額1割の方は1万9705円、2割は3万9410円、3割は5万9115円が介護保険で在宅サービスが利用できる上限額です。
なお、上限額を超えて利用したサービスは、全額自己負担(10割負担)になります。
3.要介護2の方が入所できる施設
● 介護老人保健施設(老健)
● 介護医療院
● 有料老人ホーム
● ケアハウス
● サービス付き高齢者向け住宅
● 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
4.要介護2でも特別養護老人ホームに入所できる?
要介護2の方は基本的に特別養護老人ホームには、入所することができません。
これは、特養に入居できる対象が、原則として要介護3以上と限定されているためです。
しかし、要介護2であっても、やむを得ない事情があると判断されると、特例的に特養への入所が認められる場合があります。
特例入所が認められるのは、具体的に以下のような状況にある方です。
・認知症により、日常生活に支障をきたす症状や行動、意思疎通の困難さが頻繁にある
・知的障害や精神障害により、日常生活に支障をきたす症状や行動、意思疎通の困難さが頻繁にある
・家族等による深刻な虐待などにより、心身の安全・安心を確保できない
・単身世帯、または同居家族が高齢・病弱等により支援が困難で、地域での介護サービスや生活支援も不十分である
要介護2の方で上記の要件に当てはまる方は、担当のケアマネジャーや特別養護老人ホームに特例入所について相談してみましょう。