この連載では、ケアマネジャーである筆者が、介護に関する知識や情報、親の介護を少しでもラクにするためのヒントをわかりやすくご紹介します。
Q:介護保険サービスを利用するにあたって、ケアマネジャーの存在は欠かせないと聞きました。
ケアマネジャーとは、具体的に何をしてくれる人なのでしょうか。
A:ケアマネジャーは正式名称を「介護支援専門員」といいます。介護保険法に規定された介護の専門職です。
介護保険サービスを利用する人が、心身の状態に合った適切なサービスが利用できるよう相談に応じ、ケアプランの作成やサービスの管理などを行います。
今回は、介護生活を送るうえでのパートナーともいえる「ケアマネジャー」についてご紹介します。
1.ケアマネジャーの役割
ケアマネジャーは、利用者と介護サービス事業者をつなぐ調整役です。
要介護認定を受けると、要介護(要支援)者1人に対し、必ず1人のケアマネジャーが割り当てられます。
介護保険サービスには、訪問介護やデイサービスなどさまざまなサービスがあり、これらのサービスを提供する事業所は数多く存在します。
利用者自身が希望に合った介護サービスや事業所を探すのは難しいこともあるため、、ケアマネジャーがパイプ役となり、情報提供や利用手続きのサポートを行います。
このようなケアマネジャーによる介護生活のサポートも介護保険サービスの1つです。
ケアマネジャーへの支払いは、介護保険から全額が賄われるため、利用者の自己負担はありません。

【ケアマネジャーの役割】
◾️介護サービスの利用開始時
・利用者やその家族と面談し、悩みや意向を聞き取る
・課題を分析してケアプランを作成する
・ケアプランの実行に必要なサービス事業者を提案する
◾️介護サービスの利用中
・月1回以上、利用者を訪問し状況を確認する
・サービス事業者や主治医との連絡調整を行う
・必要があればケアプランの見直しを行う
■その他
・要介護認定の申請手続き
・介護施設への入居連絡・調整
2.ケアマネジャーの探し方
ケアマネジャーを探すには、まず、ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所を選ぶことから始めます。
居宅介護支援事業所のリストは、市町村から要介護認定の結果通知と一緒に郵送されるほか、地域包括支援センターでも入手可能です。そのリストを見て、自分で利用したい事業所へ連絡することになります。
なお、要支援の人は地域包括支援センターに、介護保険施設に入所する人はその施設に所属するケアマネジャーが担当するため、自分で探す必要はありません。
3.居宅介護支援事業所・ケアマネジャーを選ぶポイント
居宅介護支援事業所の選び方
どの居宅介護事業所を選べばいいか迷う方は、次の3つのポイントを参考にいくつかの事業所をピックアップしましょう。
・自宅から近い
・24時間いつでも連絡できる体制が整っている
・希望するサービス事業所を併設している

自宅から近い居宅介護支援事業所であれば、緊急時にすぐ対応してもらえるほか、地域のサービス事業者に詳しいというメリットがあります。
また、居宅介護支援事業所には、デイサービスや訪問看護などのサービス事業所を併設している場合があります。併設の場合、サービス事業所とケアマネジャーの情報共有がスムーズに行われるので、利用者の状況に変化があった際に迅速な対応をしてもらえるでしょう。
そのほかにも、近所で居宅介護支援事業所と付き合いのある人やかかりつけ医などから評判を聞くのも良いでしょう。
ケアマネジャーの選び方
居宅介護支援事業所が決まったら、次にケアマネジャーを選びます。その際、どのようなケアマネジャーを希望するのか、具体的に伝えましょう。
たとえば「女性(男性)がいい」「ベテラン(若手)がいい」「特定の資格(看護師、介護福祉士など)を持つ人がいい」などと伝えると、それに合う人材を紹介してもらえます。
紹介してもらったケアマネジャーとは、できれば契約前に直接会って面談をすることをおすすめします。
【ケアマネジャーとの面談でチェックしておきたいポイント】
・話をよく聞いて、質問にも丁寧に答えてくれる
・専門知識が豊富で、多くの情報を提供してくれる
・利用者が理解しやすいように説明してくれる
・フットーワークが軽い
・連絡がつきやすい
上記のポイントに加え、ケアマネジャーとの相性も重要です。悩みや不安を相談しやすい人を選ぶと良いでしょう。
しかし、慎重にケアマネジャーを選んでも、付き合っていくうちに相性が良くないと感じたり、不満を感じたりすることがあります。その場合は、契約後でもケアマネジャーの変更が可能です。
ケアマネジャーを変更する方法は2つあります。
・事業所に相談して別のケアマネジャーに変更してもらう
・事業所そのものを変更する
どちらの方法を選んでも、その時に利用しているサービスは引き続き利用できます。
4.まとめ
ケアマネジャーは、介護が必要な人と介護サービス事業者をつなぐ役割を担います。
介護サービスを快適に利用して在宅介護がスムーズにできるかどうかは、ケアマネジャーの働きにかかっているといっても過言ではありません。
また、ケアマネジャーは、利用者にとって最も身近な相談窓口として長く付き合う相手となります。ケアマネジャーを選ぶ際には、実際に会って話をしたうえで、信頼できる人を選んでくださいね。