この連載では、ケアマネジャーである筆者が、介護に関する知識や情報、親の介護を少しでもラクにするためのヒントをわかりやすくご紹介します。
Q:要介護認定を受けた母の介護保険証(介護保険被保険者証)を見ると、認定の有効期間が記載されていました。
要介護認定は一度受けたら、そのままずっと有効だと思っていたので有効期間があることに驚きました。
なぜ、要介護認定には有効期間があるのですか?更新を忘れてしまった場合はどうなるのでしょうか?
A:要介護認定は、一度取得したらそのままずっと使えるわけではなく有効期間が設定されています。
そのため、有効期間を過ぎたあとも介護保険サービスを利用する予定のある方は、更新の手続きが必要になります。
今回は、要介護認定に有効期間がある理由をご紹介するとともに、更新を忘れた場合の影響や更新手続きの流れについて解説します。
1.要介護認定に有効期間がある理由
要介護認定に有効期間が設定されているのは、認定を受けた後に、高齢者の心身の状態が悪化する場合や、介護サービスを利用したことで状態が改善する場合があるためです。
そのため、介護保険制度では、高齢者に適切なサービスを提供し続けるために、有効期間を設定して定期的に要介護認定の見直しを行っています。
要介護認定は、自動的に更新されないため、引き続き介護サービスを利用する場合は、お住まいの市区町村の窓口で更新手続きが必要です。
更新手続きは、有効期間満了日の60日前から可能ですので、忘れずに期間内に手続きを済ませましょう。
2.介護保険を更新しないとどうなる?
介護保険を更新せず、有効期間が切れると要介護認定の効力がなくなってしまいます
つまり、介護保険の給付が受けられなくなるので、引き続き介護サービスを利用する場合の利用料が、全額自己負担になります。
一方で、有効期間終了後に手続きをした場合は、介護保険は申請した日に遡って適用できます。
ただし、認定までに1ヵ月程度かかるため、その期間は認定結果を待たずに介護サービスを使い続けることになります。
この場合、前回よりも低い介護度に認定されてしまうと、介護保険の支給限度額も下がるため、場合によっては、自己負担する金額が増えることには、注意してください。
なお、介護サービスを利用している方は、担当のケアマネジャーが更新時期を把握しています。
更新手続きの代行も依頼できますので、相談しておけば更新手続きを忘れる心配はないでしょう。
一方で、要介護認定を受けていても、介護サービスは利用していないという方は、自分達で有効期間を把握し、必要に応じて更新手続きを行う必要があります。
また、これまでは、有効期間満了前になると、各自治体から該当者に更新案内通知が送付されていました。しかし、現在はこの案内を終了する自治体が多くなっています。
3.要介護認定の有効期間はどのくらい?
要介護認定の有効期間は、原則として、新規では6ヶ月、更新では12ヶ月と定められています。
ただし、申請する高齢者の心身の状態によって短縮または延長される場合があります。
要介護認定の有効期間は、以下の通りです。
申請区分等 | 原則の認定有効期間 | 設定可能な認定有効期間の範囲 |
---|---|---|
新規申請 | 6ヶ月 | 3ヶ月~12ヶ月 |
更新申請 | 12ヶ月 | 3ヶ月~48ヶ月 |
一人ひとりで有効期間は異なるため、介護保険証を見て確認してくださいね。
4.要介護認定の更新手続きの流れ
ここからは、更新手続きの流れを確認しましょう。
◾️Step1 申請書の提出
要介護(要支援)認定更新申請書を提出します。
◾️Step2 要介護認定調査
お住まいの市区町村による要介護認定調査を受けます。
・訪問調査
・主治医による意見書の提出
◾️Step3 介護認定審査会による要介護認定の判定
専門職で構成された介護認定審査会により要介護認定の判定が行われます。
◾️Step4 自宅に更新された介護保険証が届く
更新された介護保険証が自宅へ届きます。
必要書類
・要介護(要支援)認定更新申請書
・介護保険被保険者証
・本人確認書類(マイナンバーカード等)
・主治医意見書(必要に応じて)
・申請代行者の身分証明書(申請者が本人の場合は不要)
・本人印(市区町村による)
・65歳未満の方は医療保険証(原本)
5.まとめ
要介護認定には、有効期間があるため、引き続き介護サービスを利用する場合には更新手続きが必要です。
有効期間を過ぎると、介護保険の適用を受けられなくなり、介護サービスの利用料を全額自己負担することになります。
担当のケアマネジャーがいる方は、更新手続きを代行してもらえるので、早めに相談することをおすすめします。