この連載では、ケアマネジャーである筆者が、介護に関する知識や情報、親の介護を少しでもラクにするためのヒントをわかりやすくご紹介します。
Q:親の介護が必要になっても、介護保険のサービスを活用して仕事や生活を続けたいと考えています。
介護保険で受けられるサービスには、どのようなものがあるのでしょうか?
A:介護保険を使って受けられるサービスには、全26種類、54のサービスがあり、要介護度に応じて利用できるサービスが決まっています。
要介護認定を受けると、その中から本人の状態や希望に合わせて必要なサービスを選ぶことができます。
今回は、介護保険で受けられる主なサービスをご紹介していきます。
1.介護保険サービスの種類
介護保険サービスは大きく「自宅で生活しながら利用するサービス」と「施設に入所して受けるサービス」の2種類に分けられます。
自宅で生活しながら利用するサービス
自宅で受けられるサービス | 訪問介護(ホームヘルパー) 訪問入浴介護 訪問看護 訪問リハビリテーション 居宅療養管理指導 夜間対応型訪問介護 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 福祉用具貸与 特定福祉用具販売 住宅改修 |
施設に通うサービス | 通所介護(デイサービス) 通所リハビリテーション(デイケア) 地域密着型デイサービス 療養デイサービス 認知症デイサービス |
施設に宿泊するサービス | 短期入所生活介護(ショートステイ) 短期入所療養介護(医療型ショートステイ) |
通い・訪問・宿泊が セットになっているサービス | 小規模多機能型居宅介護 看護小規模多機能型居宅介護 |
施設に入所して受けるサービス
施設に入所して受けるサービス | 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 介護医療院 特定施設入居者生活介護 介護療養型医療施設(2024年3月に廃止) 認知症対応型入居者生活介護(認知症グループホーム) 地域密着型特別養護老人ホーム 地域密着型特定施設入居者生活介護 |
以下では、介護保険サービスの種類を利用する場所に分けて紹介していきます。
2.自宅で生活しながら利用するサービス
自宅で生活しながら利用できるサービスは、複数のサービスを組み合わせて利用することができます。
自宅で受けられるサービス
・訪問介護(ホームヘルパー)
ホームヘルパーが自宅を訪問して身体の介護や家事の支援を行う。
・訪問入浴介護
介護福祉士と看護師が浴槽を積んだ移動入浴者で自宅を訪問し、入浴の介助を行う。
・訪問看護
医師の指示で看護師が自宅を訪問し、病状の確認や服薬管理などを行う。
・訪問リハビリテーション
医師の指示で、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が自宅を訪問してリハビリテーションを行う。
・居宅療養管理指導
医師や歯科医師、薬剤師、歯科衛生士などが自宅を訪問して、療養上の管理や指導を行う。
・夜間対応型訪問介護(※)
ホームヘルパーが夜間に自宅を訪問して、必要な介護を行う。
「定期巡回サービス」と「随時訪問サービス」「オペレーションサービス」の3種類がある。
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護(※)
定期的な巡回や随時通報への対応など、利用者の状況に応じて24時間体制で要介護者の在宅生活を支えるサービス。
ホームヘルパー だけでなく看護師なども連携する。
・福祉用具貸与
車椅子や介護ベッドなど13種類の福祉用具を月額で借りることができる。
・特定福祉用具販売
直接肌に触れるポータブルトイレや入浴用チェアーなどを購入した際、年間10万円まで利用者負担を除いた額が支給される。
・住宅改修
手すりの設置や段差の解消など、生活環境を整えるために住宅改修を行った場合、20万円まで利用者負担を除いた額が支給される。
(※)地域密着型サービス(事業所と同じ市区町村に住む人が利用できるサービス。地域によって実施されていないこともある)
施設に通うサービス
・通所介護(デイサービス)
日帰りでデイサービスセンターなどに通い、食事や入浴、機能訓練などのサービスを受けられる。
・通所リハビリテーション(デイケア)
介護老人保健施設や医療機関などに通い、食事や入浴、排泄のサービスのほかリハビリテーションなどを日帰りで受けられる
・地域密着型デイサービス(※)
18人以下のデイサービスで、食事や入浴などのサービス、機能訓練が受けられる。
・認知症デイサービス(※)
12人以下の認知症の方を対象としたデイサービス。専門的なケアが受けられる。
(※)地域密着型サービス(事業所と同じ市区町村に住む人が利用できるサービス。地域によって実施されていないこともある)
施設に宿泊するサービス
・短期入所生活介護(ショートステイ)
特別養護老人ホームなどの施設に最短1日から入所して食事や入浴、排泄など日常生活上の介護を受ける。
・短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
介護老人保健施設や介護医療院などの施設に短期間入所して、日常生活上の介護と医療ケア、リハビリテーションを受ける。
通い・訪問・宿泊がセットになっているサービス
・小規模多機能型居宅介護(※)
同じ施設で、通所・訪問・ショートステイを組み合わせて利用できるサービス。
・看護小規模多機能型居宅介護(※)
小規模多機能型居宅介護のサービスに「訪問看護」を組み合わせたサービス。
(※)地域密着型サービス(事業所と同じ市区町村に住む人が利用できるサービス。地域によって実施されていないこともある)
3.施設に入所して受けるサービス
常に介護が必要な方や自宅での生活が難しくなった場合は、下記の施設に入所することができます。
・特別養護老人ホーム
寝たきりや認知症の方など日常生活に介護が必要な方が入所できる。終身で利用可能。
・介護老人保健施設
病院の退院後などに在宅復帰を目指す方が医療ケアを受けながらリハビリテーションを受ける。
・介護療養型医療施設(2024年3月に廃止)
長期療養と介護が必要な方が入所できる。病院との併設型が多い。
・介護医療院
介護療養型医療施設の転換先。日常的に医療ケアが必要な長期療養者が対象。
・認知症対応型入居者生活介護(認知症グループホーム)
認知症の利用者が5〜9人のほどの少人数で、専門スタッフの支援を受けながら共同生活を送る。
・特定施設入居者生活介護
介護付き有料老人ホーム、ケアハウスなどで、日常生活上の介護、機能訓練などを受けられる。
・地域密着型特別養護老人ホーム(※)
定員29名以下の特別養護老人ホーム。
・地域密着型特定施設入居者生活介護(※)
定員29名以下の介護付き有料老人ホームなど。
(※)地域密着型サービス(事業所と同じ市区町村に住む人が利用できるサービス。地域によっては実施されていないこともある)
4.介護サービスを利用する際の自己負担額
介護サービスを利用する際の自己負担額は、基本的に介護サービスにかかった費用の1割です。(一定以上の所得がある人は2割または3割)
たとえば‥
1万円分の介護サービスを利用した場合に支払う費用
・1割負担の人は1,000円
・2割負担の人は2,000円
・3割負担の人は3,000円
となります。
ただし、在宅サービス(上記の「自宅で生活しながら利用するサービス」)には、
介護度によって利用できる介護サービス費用の上限(区分支給限度額)が定められています。
上限額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となるため、
在宅サービスを利用する際には、担当のケアマネジャーに予算について相談しておくことが大切です。