久しぶりに帰省した子供や孫たちと楽しい時間を過ごしていた家も多かったことでしょう。
元旦に能登半島やその周辺地域を襲った巨大地震では、今も多くの方が寒さに耐えながら避難生活を強いられています。
義援金を送るくらいしかできずもどかしい限りですが、被災地区の方々に一日も早く落ち着いた生活が戻ることを祈るばかりです。
そんな中、こんな不安を抱いている方もいるのではないでしょうか。
「うちの実家が同じような災害にあったら、どうなってしまうのだろう」
「すぐに駆け付けられればいいけど、道路寸断でできなかったら・・・」
何か備えが必要なのでは、とちょっとでもお考えなら、まずどんなリスクがあるのか、何が心配なのか、そして何ができるのか、書き出してみましょう。
日本全国には、わかっているだけで2,000以上もの活断層があります。活断層のずれによる地震の発生間隔は非常に長いのですが、阪神淡路大震災や今回の能登半島のように巨大地震となる可能性もあります。
「何かしなくちゃと思っていたのに・・・」と後悔をしないためにも、備えのためのアクションは「今すぐ」行う必要があります。
シチュエーション別に想像してみる
とはいえ、災害への備えというのは難しいもの。
「季節」「時間帯」によっても必要なものは変わりますし、家族それぞれが発災時どこにいるかなどによって状況は大きく変わるからです。
もし実家のご両親が既に退職をして家にいる時間が長いのであれば、少し備えが検討しやすくなります。
一方で、もし家屋の築年数が長い場合には、「家屋倒壊」リスクも高まります。
地震で全壊・半壊にならなくても、ダメージを受けて余震での倒壊リスクが高まり、家の中には住み続けられなくなることもあります。
高齢者の場合、脚が悪くて避難のための移動が難しかったり、持病などで避難所での生活に支障があるという場合もあるでしょう。
なんていろいろ考え始めてしまうと、「何をどう備えたらいいのやら」と混乱してしまってもよくないので、いくつかの可能性の高いシチュエーションを仮に想定して、そのための備えから考えていくのがいいと思います。
たとえば
・両親ふたりとも在宅時に地震が発生した
・季節は肌寒くなる秋から冬の間
・家は無事だったけど長期停電・断水になった
・通信障害も発生して、初期連絡がとれない状態(さらに親の携帯電話バッテリー切れ)
・ガソリン調達が困難になり、車で買い出しや病院に行きにくくなった
・食料はある程度備蓄もあったけど、給水所から水を運ぶのが大変
などです。
親だけだと備え不十分なものを替わりに手配しよう
同居していない場合、食糧や日用品の備蓄まではサポートが難しいかもしれません。
また一戸建てである程度スペースがある実家の場合、トイレットペーパーや食糧など、実は備えがしっかりできていることもあるかもしれません。
「むしろ『なぜこんなに買いだめしているの?』と驚くほど・・・」
というケースもあるかもしれません。未使用の乾電池も結構たくさん発掘されたりします。
だとしたら、離れて暮らす子供としては、親がちょっと思いつかないものを手配しておくというのもありです。
水の汲み置き/給電できるバッテリー
私の実家は千葉県北部ですが、東日本大震災の時には液状化がひどく、断水は一か月近くとなりました。
そうなると当然、ペットボトルの水を多めに用意しておくだけでは足りません。
給水所から水を汲んでくる必要がありますが、ペットボトルでは限度もあります。BBQ用に買ってあった10Lの折りたたみ水タンクが活躍しました。
また途中からは、衣装ケースや段ボールも水を汲み置きする容器となりました。
その時に役立ったのが、漬物用のビニール袋です。
使ったことある方もいるかもしれませんが、味噌を漬けたりするのに使うビニール袋はかなり大きくて容量もある上、厚手で頑丈です。保管に場所をとらないのもうれしい点です。
また2019年には、房総半島を巨大台風が襲い、長期の停電となりました。
この時には私がバイクにモバイルバッテリーやキャンプで使うランタンなどを積み込んで実家に駆け付けました。
その夜からは、吊るしたランタンの灯りの下で夕食をとれるようになり、バッテリー切れとなっていた携帯電話に給電し、基地局の復活とともに通話もできるようになりました。
それ以来、実家には大容量のモバイルバッテリーを常に2本置き、帰省のたびにフル充電されているかどうかをチェックするのが習慣になりました。最近のモバイルバッテリーは長期放置してもそれほど放電されずに済みます。
「ポータブル電源」をご存じでしょうか。
さらに大容量のバッテリーで、キャンプ好きな方だと屋外で照明器具や暖房器具などのために使ったり、車中泊用に車に積んでいたりします。もちろん災害用に備えている方も少なくありません。
以前はかなり高額で、具体的な使い道がないとちょっと手が出しにくかったのですが、今はかなり価格も下がっています。
私は少し前に、「EcoFlow」というメーカーの720Whのポータブル電源と160Wのソーラーパネルをセットで購入しました。Amazonセール時で、通常価格12万円ほどのものが7万円ちょっとでした。
もちろん安くはないのですが、これでスマホやパソコン、LEDランタンなどにたっぷり給電できますし、寒い時期であれば電気毛布を夜使うこともできます。そしてソーラーパネルがあれば、日中の太陽光で発電し、電気を溜めることも可能です。
家の耐震診断と耐震改修
「旧耐震/新耐震」という言葉を聞いたことある方もいるでしょう。
耐震基準は1981年に改正され、それ以前の基準が「旧耐震基準」と呼ばれています。これは震度5程度の地震では大きな損傷を受けないというもの。今回の能登半島を震源とする地震では、旧耐震基準の建物に被害が集中しています(新耐震基準でも被害を受けた家屋はあります)。
自治体では今、古い耐震基準で建てられた家屋の改修を促進すべく、補助金による助成を行っています。多くの自治体では二段階で行われており、耐震診断・耐震改修それぞれで実際いにかかった費用の一定割合を補助してくれます。
「もうそんなに長く住むわけではないから」
と、親が二の足を踏んでいるという方もいると思いますが、一度是非、実家のある自治体の補助金制度を調べてみてください。
ちなみに私の実家がある千葉県香取市は、対象となる木造二階建て以下の家屋の場合、耐震診断で「
費用の2/3(限度額6万円)」耐震改修では「費用の2/3(限度額100万円)」が補助されます。
これを使えれば負担はかなり減りますので、親を説得しやすくなるかもしれません。
車中泊への備え
地震の後で家屋倒壊リスクが高まると、車中泊という選択肢をとる方もいるでしょう。
その場合、何があったら便利なのか。
私自身も今、車中泊体制のためいろいろ揃えている最中ですが、実際に一晩寝てみると必要なものがいろいろ見えてくるはずです。
例えば仮眠程度なら、運転席や助手席を倒して寝るで十分ですが、何日かにわたって車中泊となりしっかり睡眠をとるなら、シートの小さな段差もマイナス要因となります。
そんな時にはエアーベッド。
私は2000円台のアイリスオーヤマのエアーベッドを2つ購入しました。空気入れもセットになっているので、ガレージに入れておけばすぐ使えます。
車のシガーソケットにはめ込んで使うアダプタで、USBケーブル充電も可能です。ただ2019年の台風・豪雨災害の際には、近隣のホームセンターや家電量販店、100円ショップから一瞬で在庫が消えてしまい、すぐに買うことができなくなりました。
同様に発災後に一瞬で市中在庫が消えたのはガソリンの携行缶です。
多くの人がガソリンスタンドに殺到し車の行列ができました。携行缶があれば、その回数を減らすこともできます。
車で移動している途中で災害にあってしまうこともあるでしょう。
荷室にスペースがあるなら、ミネラルウォーターや長期保存可能な缶入りのパンやクラッカー、あと防寒にも使える薄手アルミシートや古新聞、懐中電灯などを袋にまとめて入れておくといいかもしれません。
アクションを起こすことで不安が少し解消する
連日のテレビ報道を見て、ご両親の不安も増しているかもしれません。この家は倒壊してしまわないだろうか、もしもかわいい孫が来ている時に地震が発生したら・・・。そんな声も聞こえてきます。
漠然とした不安やもやもやした気持ちを解消するには、具体的なアクションが一番。
電話でもいいので、ぜひご両親と一緒に話し合って、備えを始めてみましょう。危機感が強まっている今だからできることも、きっとあると思います。