「おばあちゃんが私のことを忘れちゃう前に、もっとおばあちゃんに会っておくんだった!」
仕事仲間のライターさんのお嬢さん(25歳)のコトバ。
ライターさんのお母さんは、アルツハイマー症の認知症。残念ながら、今はもうお孫さんたちがわからない。
お孫さんが小さい頃から、ライターさんの子育てに協力していました。だから孫たちとおばあちゃんは、大の仲良しでした。
でも認知症の症状が出たころ、お孫さんたちはちょうど受験や就職活動など10代、20代の目まぐるしく環境が変化をする忙しい時期でした。
ライターさんはお子さん方に気を遣って、あまりおばあちゃんに会いに行くことをすすめなかったそう。そして冒頭のお嬢さんのコトバ。
「もっと積極的に会わせればよかったのかな」と反省したそうです。
身につまされた。うちの場合も全く同じ。
私たちは山口で離れて暮らしていたけど、コドモたちが保育園の頃から、夏休みと春休みにコドモたちと1週間横浜に帰るのがおきまりでした。
私は仕事の営業、取材に出かけ、その間に私の父母はコドモたちをプール、ディズニーランド、動物園など、あちこちに連れて行ってくれた。だからコドモたちも父母のことが大好きでした。
でも中学、高校となって勉強、部活とそれぞれの生活が忙しい時期に入ると、小さい頃のように長々と横浜に行くことができなくなりました。横浜に行っても父母と一緒にどこかに遊びに行く、という機会も減少。
大学進学で上京した後も、「いつでも会える」感からか、近くにいても会うのは年に1回くらい。コドモにとっては生活が変化し、優先順位がどんどん変わる時期です。
だから私も積極的におばあちゃん達に会いにいけ、とは言わなくなった。
実はそこにはもう一つ理由がありました。
老いていく両親の姿を、なんとなくコドモたちに見せたくなかった。私でも受け入れるのに戸惑ったし。
でもライターさんの話を聞いて、方針転換。
私のコドモたちは、今、社会人です。自分たちで十分判断できる。
だからコドモたちがおばあちゃんに会えるような機会を作っては、声をかけることにしました。
例えば私がホームにいる母に面会するときに声をかけたり、母の一時帰宅を手伝ってもらったり。
コドモたちは母と会う回数も、残りわずかということもわかっている。会うかどうかを決めるのは彼らです。
母はもう孫たちの名前も忘れてしまったけど、「すごく親しい若い人」ということで、会いに行くと目をキラキラさせてとても喜んでくれます。愛情は残るんですね。
ところで両親が私の子育を全力で手伝ってくれていたのは、60代。
まさしく今、私も「その頃」になろうとしています。