



退院した母は、予想以上の回復を見せた。
起き上がって伝い歩きができるようになったし、なんといっても認知力が戻ってきたのです。
寝たきり状態の時は、私が話しかけても宙を見つめていたのに、今は会話もふつうにできる。
カラダとココロはリンクしているなあ、と改めて思う。
母、よくがんばった!
ホッとしたのも束の間、あるミッションを再開する。
そのミッションとは、高齢者施設(老人ホーム)の見学です。
母が入院する前からこのミッションは水面下で遂行されていました。実行員は私だけだけど。
「トメさん、高齢者施設は親御さんが元気で判断力があるうちから希望を聞いて、いろいろ見学に行った方がいいですよ」
とはファイナンシャルプランナー、畠中雅子さんのおコトバ。
今から約10年前、一緒にお仕事をした時に言われた。当時は両親もまだ元気だったけどアネも私も遠くにいたので、ゆくゆくは施設入居もあるな、と考えていた。
でも、その時は行動できなかった。目の前の日々を回していく仕事に追われていたのと、親に言い出しづらい、という理由です(後者のが大きい)。
10年の時を経て、ついに時が来て見学を始めました。
見学を始めてわかったのだけど、施設って公的、民間のものを合わせていろんなタイプものが星の数ほどあるのです。砂浜で1週間前に落としたピアスを探す感じ。
早々に自力で探すことを諦めケアマネさんに相談したところ、高齢者施設のコーディネーターさんを紹介されました。
このコーディネーターさんに希望、条件を伝えると、星の数ほどある施設から、いくつかピックアップしてくれて、見学のアポイントもとってくれるのです。
時間は限られています。1ヶ月に一度、実家に介護に来たタイミングで。それも取れる時間は半日ぐらいだから、効率よく回らねば!
コーディネーターさんと打ち合わせをして、まずは優先順位を明らかにする。
①予算
月々いくら出せるのか?これがわからないと始まらない。もちろん親の資金内が前提である。
私の場合親の資金は把握していたから、ざっくりと予算を絞った。
②両親ともパーキンソン病なので、看護師が24時間常駐。
看護師常駐といっても、9時―17時も場合が多い。
これも見学して初めて知る。
③場所は実家から車で行けるところ。時々実家に帰る、というオプションを残したい。
④夫婦室があるところ。
これでいくつか絞ってもらい、見学開始!ここでまた初めて知ることがありました。
施設って元気じゃないと入れないのである。
え?自宅で生活が難しいから施設に入るんでしょ?矛盾してるじゃん。
いえいえ、例えば入浴、食事、排泄など身体介護はやってもらえるんだけど、医療行為はできないのです。施設は病院ではなく、生活するところだから。入居前には健康診断書も必要。
ということで母の入院中は、見学は一時中断。そして退院後に再開。
ホントに知らなさすぎだよ、自分。
落としたピアスは諦めるしかないけど、施設探しは諦めるわけにはいかないのだ。