この連載では、ケアマネジャーである筆者が、介護に関する知識や情報、親の介護を少しでもラクにするためのヒントをわかりやすくご紹介します。
Q:母(82歳・要介護1)の介護が始まり、担当のケアマネジャーと一緒にケアプランを作成しました。
しかし、実際にサービスを利用してみると、希望に合わない部分が出てきました。こうした場合、ケアプランを変更することはできるのでしょうか?
A:ケアプランは、利用者やその家族の希望や状況に合わせて柔軟に変更することができます。
また、実際にサービスを利用してみて初めて分かることもたくさんあります。そのような場合は、遠慮なくケアマネジャーに相談し、必要に応じてケアプランを変更してもらいましょう。
今回は、ケアプランの変更についてご紹介します。
1.「合わない」と感じたら、いつでも見直しが可能
いざサービスが始まると、「思った内容と違っていた」「体調が変わって通うのが難しくなった」など、予期せぬ状況が発生することも少なくありません。

そのような場合には、担当のケアマネジャーに相談して、その時の状況に合わせたケアプランにいつでも変更することができます。
ケアマネジャーは、月1回の定期訪問(モニタリング)が義務付けられています。日常生活で困っていることや不自由を感じることがあれば、その訪問日に伝えて相談してみるといいでしょう。もちろん、急ぐ場合は電話などで直接連絡を取ることも可能です。
また、ケアマネジャー自身も「作成したプランがご本人に合っているか」「サービスの効果が出ているか」を継続して確認しています。必要だと判断した場合は、ケアマネジャーの方から「プランを見直しませんか?」と提案することもあります。
(ケアプランとは何ですか?)
2.ケアプラン変更の手順
変更の手順は、プランの目標やサービス内容が変わるかどうかによって、大きく2つに分かれます。
1. 通常の変更(サービス内容や目標が変わる場合)
利用回数を増やしたり、新しいサービスを追加したりする場合の手順は、最初にケアプランを作成した際とほぼ同じです。
- ケアマネジャーに相談
- ケアプラン原案の作成
- サービス担当者会議の開催
- 利用者・家族への説明と同意
- 新しいサービスの利用開始
関係者が集まる「サービス担当者会議」を開き、変更内容について全員で認識を共有した上で決定します。
2. 軽微な変更(目標やサービス内容が変わらない場合)
一方で、変更の内容が「軽微な変更」と認められる場合は、サービス担当者会議を開くことなく、速やかにケアプランを変更できます。
具体的には、以下のようなケースが「軽微な変更」に該当します。
- サービス提供の曜日変更(体調不良や家族の都合など一時的なもの)
- 事業所の名称変更
- 目標期間の延長(課題や目標を変える必要がない場合)など
この場合、ケアプランは訂正箇所に二重線を引くなどの方法(見え消し)で修正されます。
サービス担当者会議をせずにスムーズに対応できる仕組みがあることを、知識として覚えておくと良いでしょう。
3.まとめ
ケアプランは一度決めたら変えられないものではなく、利用者や家族の状況に合わせてその都度見直していくものです。

実際にサービスを使い始めたものの意向に沿わない場合や、困りごとが変わった場合は、担当のケアマネジャーに相談してみましょう。その時の状況に合った最適なプランへ変更していくことが、無理のない在宅介護を続けるコツです。





