なかなか聞きづらい、親のお金のこと
親の老化が見え始めると、一番気になるのは「お金」です。
親にどのくらい資産があって、老後資金をまかなえるのか?もしかして私たちコドモも火の粉をかぶるの?=自腹を切る。
私の実家の父は、会社員でした。母は専業主婦で、家の経理は全て彼女がやりくりをしていました。
家を建てたばかりの頃は、アネも私も小学生。節約が日常でした。おもちゃもお菓子もなかなか買ってもらえなかったし、外食をすることもほとんどなかった。家族誰かの誕生日だけ外食だったので、オシャレをして出かけるその日が本当に待ち遠しかった。
そんな慎ましい生活だったけど、アネと私が家を出た後は2人で時々海外旅行もしていたから、まあお金には困ってない様子ではありました。
でも一体どのくらいお金があるのか?
こちらからは聞きづらい。どのタイミングで何と言って切り出すのか?
資産情報がかかれた、一冊のノート
そんなある日突然母が脊柱管狭窄症で急に歩けなくなりました。幸いその後のリハビリで、日常生活をふつうに送れるほど回復。でもその頃から急に両親とも老化の坂を転がり始めた。母が私に電話をかけてきて、「お金や保険のことをちゃんと伝えたいから、1度アネと一緒に帰ってきて」と。母も自分たちの将来の不安が、大きくなってきたのです。
その年の正月にアネと帰ると、母は言いました。
「お金の話をすると、お父さんが目を三角にして怒るから、お父さんがいない時に話すね」
父がボランティアガイドで出かけたのを見計らって、母が1冊のノートを出してきました。そこには預貯金の残高、生命保険、年金番号など全ての資産情報が書かれていた。
わあ、お母さん、Good job!
母は片付けはそんなに得意ではないけど、こういうところはキチっとしていました。残高も、2人が老後を送るには十分な額でした。とにかくそのノートの存在を知っただけで、不安のもやもやが消え去りました。
父からの帰るコールを受けて、急いでノートを元の引き出しに戻しました。
元気なうちに、お金のことを話せる信頼関係を
数年後2人は自宅介護になり、お金の管理を事実上私がすることになります。このノートに助けられたのは、言うまでもありません。でも父は何かにつけお金が足らなくなるんじゃないかと心配をし、銀行の残高を教えてくれと私に言い(でも教えてもすぐ忘れちゃう)常にカリカリしていました。認知力が下がっていく父に私が繰り返して言ったコトバ。
「お父さんとお母さんが今まで一生懸命働いて貯めてきたお金を無駄にしたくないから、私に任せてくれない?」
節約時代、父は大好きなお酒も制限したと後になって聞きました。これは私の本心から出た文言です。
とにかく、まず親が元気なうちに信用関係を作ること。
あまり帰省してこなかなったコドモが突然帰ってきて、「今、家にどのくらいお金があるの?」と聞いても、親はええ!?といぶかしく思うだけです。
うちの場合は、母が現実的だったから助かりました。お金のことを話せるような関係になっておくと、これから先老後をどう過ごすか、とか最期はどこで迎えたいか、などセンシティブな話もしやすくなります。
自分もコドモたちが不安にならないように、資産のことはわかるようにしておかないといけない。何のサブスクに入っているとか、まとめておかないとね。