



「よそさまを家に入れるのは、イヤ!」と母は言った。それに応えるように父も「俺もイヤだ」と。
高齢の両親2人だけでなんとか今までやってきましたが、それも限界。
パーキンソン病でカラダの動きが徐々に悪くなっている父に加え、母が急速に衰えています。家事も食事の支度もままならなくなってきた。
ケアマネさんを紹介してもらい、今後のことをじっくり相談。その場で「家族の決断」、ヘルパーさんに来てもらうことにしました。そこで出たのが冒頭のセリフです。
家の中に他人が入るに加え、家事にお金を払うのにすごく抵抗があるらしい。
また手伝ってもらうことで、ますます自分たちのカラダが動かなくなるのでは、と。
いやいや、自分に厳しい昭和一桁生まれ。でも現実を把握できてない。
「もちろん、自分でできることはやってもらうよ!」
の掛け声で、まずはお試しにと私が実家にいる時にヘルパーさんに来てもらいました。
来てくれたのはYさん。高校生の息子さんがいるというYさんは、(私に比べて)とても若いのにヘルパーのキャリアも高く、とにかくフットワークが軽い。そしてむっちゃコミュ力が高い。
嫌がっていた親を、たちまちその笑顔でトリコにしました。
時間は90分と決まっているので、あらかじめお願いしたいことを箇条書きにして彼女に渡す。
特にお願いしたいのは、トイレ、お風呂の掃除と食事の支度。
トイレは汚れがちだけど、もう2人ともかがめないので掃除もできない。
ちゃんと掃除ができるのは、1ヶ月に1回、私が行った時だけ。臭いも気になっていた。
彼女は慣れた手つきで、掃除、片付け、食事の支度と同時にいろんなことを進行し、また時折両親に話しかける。冷蔵庫にあるもので昼食が出来上がり、テーブルに配膳。90分にはまだ時間がある。
魔法にかかったような父母は、進められるがままに出来立てのチャーハンをスプーンで口に運んでいる。
救世主!?
彼女以外のヘルパーさんを含め、両親の介護保険で使える単位内で週3回来てもらうことになりました。
1ヶ月後実家を訪れると、両親はすっかりヘルパーさんが来るのが当たり前の生活スタイルになっていました。赤かびで汚れていたトイレの便器も、真っ白に!(感激!)。
人が出入りすることで、家の中の風通しもよくなったみたい。空気のどんより感が、ちょっと良くなってる。
人に頼る抵抗感を捨てる。
介護においては、一番重要なことかも。
本人も、家族も。コドモが自分で全て背負いこもうとすると、誰も幸せになれない。