認知症って一体どういうことなんだろうか?今回このようなテーマでお送りする連載記事を、医療に関わり、その後、介護付き有料老人ホームの看護職員として長年務められ、多くの認知の入居者に携わり、自らも認知症ケアについて学ばれている、松崎さんに綴っていただいてます。
さて認知症を診てくれる病院、医師も決まると何となくホッとすると思います。
医師が処方してくれた認知症の薬、これをちゃんと内服していれば大丈夫だ!と思うはずですが、いやいやこの薬で認知症状が悪化したり、一番多いのが興奮して暴れたり、身体の動きが悪くなり歩けなくなることがあります。
薬には効果もありますが副作用もありますのでよく様子を観察することが必要です。
そのためには処方されたお薬の内容をよく知ることです。まずはお薬が出たら医師にどんな効果があってどんな副作用があるのかを聞くことが大切です。
また副作用がでたら中止してよいかと聞くことも大事です。また内服中はどのような点に気を付けながら様子をみたらいいのかも聞いてくださいね。
「いやいや、こんなこと先生には聞けないわよ!」と言われる方、結構多いんです。
でもお薬を飲むのは、皆さんの家族です。大事なお父さん、お母さんなのです。
・おくすりの注意点
1.抗認知症薬を知る。
抗認知症薬は4種類あります。
ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチンというお薬です。
主に認知症の中核症状(記憶障害、見当識障害など)の緩和が効果とされています。
これらのお薬には以前2週間毎に少しずつ増量をしていく増量規定というもありました。現在は医師の裁量になっていますが、未だにこのことを知らない医師もいます。
効果の出る方も確かにいらっしゃいますし悪いお薬ではありません、使い方が肝心なお薬です。
2.抗認知症薬の副作用を知る。
*興奮性 4種類とも
*歩行悪化 ドネペジル
*傾眠 ガランタミン、リバスチグミン、メマンチン
*食欲低下 ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン
*嘔気 ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン
*徐脈 4種類とも
*心停止 4種類とも
*下痢 ドネペジル
*便秘 メマンチン
*頻尿 ドネペジル、リバスチグミン
などがあります。
副作用の症状を知ることで気を付けて見るポイントがわかります。早めに気付いていくことが大事です。
このような症状が現れたら、次の受診を待たず早めに受診することをおすすめします。お電話での問い合わせもおすすめします。
3.私の経験から
娘さんと二人暮らしの高齢女性の方、軽度認知症の方でドネペジルが処方されていました。娘さんはお忙しく、お母さんもまだまだお一人でできることも多かったためお薬もお母さん任せにされていました。
数日前から食欲のないお母さんを気にされてはいたのですが、「大丈夫よ」とのお母さんからの言葉に少し様子みて病院に受診しようと思われていたとのこと。
ある日仕事から帰宅するとお母さんが動けなくなって、倒れ込んでおり救急車を呼ばれました。病院の先生からのお話は「徐脈です、少し入院してご様子みましょう」とのことでした。
この徐脈の原因があとでわかったのですが、28日分、処方されていたこの抗認知症薬を10日間で飲み切られていたそうです。大量投与による副作用でした。心停止にならずよかったと思います。
その後、娘さんもご心配になられて、ご相談に来られお母さんの施設入居に踏み切られました。
お元気で退院されたお母さん安心しておりました。
退院後の処方を確認すると、ドネペジルは少量処方で継続されており、
追加でプレタールというこれも血流を良くするお薬で抗認知症薬ではないのですが、脳血流効果が認知機能に効果ありと言われているお薬が処方されていました。
入居して1週間後にまた救急搬送する運びになりました。今回は頻脈です。脈が140~160になり動悸が激しく倒れてしまいました。
救急搬送後、入院する必要もなく帰館されました。医師からはプレタールの副作用で頻脈になられていると思うので薬を中止してくださいとのことでした。そうなのです、プレタールは副作用で頭痛、頻脈があります。
これをきっかけに主治医の先生とお話させて頂き、ドネペジルもプレタールも内服中止にさせて頂きました。
その後は落ち着かれご生活されています。
・まとめ
皆さんご存じかと思いますがフランスでは日々の生活の質が上がらない、副作用も無視できないとのことで保険適応から外されました。
抗認知症薬は使い方が肝なのです、少量投与で活気が出て元気になられる方もいます。しかし副作用もあります。これはどんなお薬にでも言えることです。ご家族を守るため、自分をも守るためお薬の知識は必要かと思います。
今、大事なお父さん、お母さんはどんなお薬を飲まれていますか?