【体験談】自宅介護(デイサービス利用)の1日のスケジュールや費用

この連載では、さまざまな状況で介護を担っている方を取材し、「介護をラクにする工夫」「大変なこと」さらには「介護に対する本音」について伺い、実際の1日スケジュールと介護に関連した月額の費用もご紹介します。

今回は、Aさんに二世帯住宅の1階で暮らす要介護2認定を受けた義母の介護についてお話を聞きました。

・ディサービスの利用が「自宅介護」を支える柱に

Aさんご家族のプロフィール

夫(63歳、メーカー勤務)、長男は独立、次男は大学院生でひとり暮らし。Aさんは自宅で親族が経営する工場の経理や事務を行っている。義母は86歳。完全分離の二世帯住宅。現在は週3日、義母はデイサービス*を利用。

*デイサービスとは・・要介護の高齢者が施設に日帰りで通い、入浴や食事のほかアクティビティを楽しんだりリハビリなどを行ったりする。

介護を始めたきっかけ

早くに義父を亡くしていたため、結婚当初から二世帯住宅の1階に義母、2階・3階にAさん一家が暮らしてきました。ある朝ポストに新聞があるので「あれ?」と思ったそう。早起きの義母はまず新聞をとってそれを読むのが日課だったからです。ドアホンを鳴らしても返事がないので合鍵で中に入ると、義母はトイレの前でつまずき痛みで動けずにいました。

「3週間ほど入院し、その後から様子が急激に変化しました。家事もしなくなり、誰かが支えないと歩行も難しくなりました」と心配な状態に。結局、夜は夫婦が交代で1階に寝泊まりし夜中のトイレに付き添い、昼間はAさんが日常的な介助をすることになりました。「日夜問わずのお世話も最初の頃は気力で乗り切っていたけれど、半年ほど過ぎた頃から限界を感じるように」なったそうです。

・二世帯住宅で同居介護・デイサービスを週3日利用

・同居介護について教えてください!

1)同居介護で大変なことは?

うちの場合はやはり夜ですね。トイレじたいはひとりでできますが、付添いは必要です。こちらも歳をとってきて、一度目が覚めるとなかなか寝付けないし、ようやく眠れたら2回目のトイレタイムということもあります。かといっておむつは絶対に嫌と言うので今のところは使っていません。義母が寝付けず、いきなり起き上がって「あっちの部屋に連れていって」と言うこともよくあり、説得したり、あるいは一緒に起きて付き添ったりと、それが一番たいへんです。

2)介護をラクにするために行っていることは?

自宅介護に限界を感じ、まず市役所に相談に行きました。要介護認定の申請をし、あとは支援センターの方がケアプラン作成など進めてくれました。

ケアマネージャーさんからは具体的な助言を受けられます。たとえばそれまでわたしは義母の転倒などが不安でずっとそばについていましたが、呼び出しベルを身につけてもらい(用があれば鳴らしてもらう)、日中は時々2階に戻りひと息ついたり、仕事したりできるようになりました。

さらにデイサービスの利用で、週3日、昼間に自由な時間ができたのは本当に「このおかげで自宅介護が続けられている」くらいありがたいです。入浴は加算になりますがデイサービスで入ってきてもらえるのも非常に助かります。

3)介護の本音とこれからへの思い

初めの頃はひとりで全部抱えていたこともあってストレスが増え、(ずっとお世話し続けるのか)と先のことを考えると気持ちが沈み込みました。支援センターで相談し、今後は状況に応じて、たとえば同居でもヘルパーさんや訪問看護師さんを頼むとか、特養(特別養護老人ホーム)を検討することも視野に入れています。今は「自宅介護のみにこだわらない」ことで気持ちがだいぶ軽くなりました。

元教師の義母は時間の感覚がおかしくなる(過去と現在が混乱する)ことはよくあるのですが、一方で思考力は確かで、孫である次男について「あの子は算数がとてもよくできる。計算のミスも少なくて丁寧な字を書くし、宿題をやらせてもあきらめずに粘り強い。研究職が向いていると思うよ」とわたしに言うのでハッとしました。ちょうど次男が院生になり研究の道へ進むか迷っている時だったからです。

(義母は物事がわからなくなってきているから)と決めつけていましたが、思考力がすべて衰えているわけではないのです。毎日のことですから適当にあいづちをうつだけの時も多いですが、それ以来、時々は向き合って落ち着いて会話をするようになりました。義母が過ごしてきた人生の重みを敬うと同時に、「自分の人生も大切にしよう」と改めて考える“きっかけ”になった出来事です。

今後はショートステイ(泊りがけで施設に滞在できる短期間限定のサービス)を頼んで、自分たちも旅行に行ったり、子どもたちと外食をしたりと、育児と仕事の両立ならぬ「介護と生活の両立」をめざしていくつもりです。

・わが家の介護家計簿

義母の支払い:27,000円前後

義母の年金等は夫が管理し、ディサービス・介護ベッドレンタル料(どちらも介護保険を使用)等の費用をそこから支払っています。これにプラスして医療費(眼科など)が月によってかかります。義母の年金の残額は、老人ホームの入居用として貯蓄。夫はひとり息子で兄弟姉妹がいませんので、介護の負担を分担することはできませんが一方でお金のことなどで揉めることもないのはある意味、よかったかなと思います。

わが家の生活費負担分:30,000円前後

以前は光熱費なども別々にしていましたが、介護が必要になってからは食費も含めて、わが家で賄っています。また介護用ベッドは貸与ですが、廊下など簡単なリフォームを行ったので、いわゆる初期費用としては30万円くらいかかりました。

まとめ:介護する側もされる側も「人生を大切に」

歯磨き、トイレ付添い、身支度の手伝いなど、欠かさず行う日常的なお世話こそ、知らずと介護者にとって重荷になっていることも……。

Aさんは包括支援センターで相談をし、ケアマネージャーの助言などで自宅介護の負担が減ったと話しています。デイサービスを利用することで精神的な余裕ができ、さらにケアマネージャーと相談しながら「今後はどうするか」を具体化していくことで将来的な不安も解消されます。

「介護する相手を尊重する気持ちを持ち続けるためにも、自分自身の時間も必要です」

「何もかも犠牲にするような介護は続きません」 とAさんは語ってくれました。介護する人もされる人も、それぞれの暮らしが成り立つよう周囲の助けを借りながら、「今はこれがベスト」という介護方法を見つけることが大事なのですね。