離れて暮らす高齢の親を見守りたい──。
そんな時、まず導入したいのが「見守りの目」ともいうべき重要な役割を果たすネットワークカメラです。
ネットワークカメラとは、インターネットに接続して利用し、LIVE映像や録画映像を離れた場所からパソコンやスマホで確認できる製品。防犯の他、ペット、子供の見守りなどに活用している人が多いですが、もちろん高齢の親の見守りや実家の防犯にも威力を発揮します。
問題はどの製品を選ぶか。というのも、多くのメーカーが様々なタイプの製品をだしていて迷ってしまうほどだからです。
そんな中、最近注目されているのがAmazonグループのRing社が発売するネットワークカメラです。日本では昨年2022年春から発売を開始し、Amazonの他、ビッグカメラなど家電量販店でも購入できます。
・Ring社のネットワークカメラ三種
使う場所によって3タイプの製品が用意されています。
まず1つ目は、価格も手頃な「Ring Indoor Cam (リング インドアカム) 第2世代」。Amazon価格は4,980円ですが、頻繁に開催される「Amazonタイムセール」では大幅ディスカウントされることもあります(価格は12月5日時点/以下同様)。
バッテリーは内蔵していないので、USBケーブルで給電しながら使う必要がありますが、実家で利用するならうっかりバッテリー充電切れにしてしまわないためにも、そのほうが安心でしょう。
2つ目はバッテリー内蔵の「Ring Stick Up Cam Battery」。ケーブルレスなので、壁コンセントがない部屋や屋外で使うこともできます。価格はAmazonで11,980円と少し高くなりますが、好きな場所に気軽に動かして使えるので、場所を固定せず使いたい時には便利です。
肝心のバッテリーがどの程度もつかは利用状況次第(動体検知の設定など)で一概には言えませんが、私の実家では1か月以上は余裕でもっています。
最後に屋外設置用の「Ring Spotlight Cam Plus」。外壁に取り付けて主に防犯カメラとして利用するものです。カメラの両側にライトもついていて、例えば夜間に誰かが近付いてきたら自動で点灯する設定もできますし、屋外照明として毎日夜間は付けておくこともできます。
離れた場所から見ても防犯カメラが取り付けてあることは一目瞭然なので、空き巣や強盗の抑止効果も期待できます。
今回は、室内での見守りにちょうどいい、「Ring Indoor Cam (リング インドアカム) 第2世代」をご紹介します。
・水平視野角115度の広角で夜もクリアな映像
見守りのためのネットワークカメラ選びで大事なポイントになるのが、部屋の中をしっかりカバーできるかどうか。つまり視野角です。
この「Ring Indoor Cam 第2世代」の場合、水平115°・垂直59°と視野角は左右90度以上あるので、例えば部屋の角に設置すればその両脇の壁も含めしっかり映ります。
ちなみに防犯カメラだと、レンズ部分が左右上下にぐるぐる回転させることができる製品もたくさんあります。
こちらのページを見てみてください。
Amazonの「スタンダード型防犯カメラ」売れ筋ランキングです。
上部が球体になっているものは、ほとんどがレンズ部分をアプリから操作して動かすことができる製品です。
「それなら親の見守りもレンズ回転機能は必須なのでは」
と思うかもしれませんが、そうとも限りません。というのも、レンズを動かして映し出す方向を変えられるのは、LIVE映像の時だけ。詳しくは後述しますが、「動体検知してその前後数秒を自動録画する機能」で録画されるのは、その時にレンズが向いている方向のみなのです。
親の見守り目的だと、連絡がつかなくなった時などに過去の録画映像を見て何が起きているのかを確認することのほうが多くなるかもしれません。その場合には、広角で部屋の広い範囲をしっかりカバーしてくれるカメラであれば、レンズは回転しなくても大丈夫ですし、LIVE映像でどれだけ回転させられるかより、固定の時の視野角がどれだけ広いかのほうが重要です。
もちろん設置する場所によっては、この「レンズ回転機能」が効果を発揮します。
私の実家では、L字型の廊下に360度レンズ回転式のネットワークカメラを設置しています。親がトイレの前で転倒して起き上がれなくなってしまっているのをこのカメラで見つけたこともありますし、玄関にいる母親にカメラのスピーカーから呼びかけたりするのにも重宝しました。
夜間撮影モードも重要です。
Ringのネットワークカメラにはカラーナイトビジョン機能が搭載されていて、真っ暗な部屋でもカーテンのひだまで認識できるくらいきれいに映し出してくれます。
・動体検知するとその前後数秒間を自動録画してくれる
よくテレビの刑事もので、防犯カメラの映像を何時間もかけて確認し、犯人を探し当てるといったシーンを見ますが、個人の家で使う場合にはそんなことをする必要はありません。誰かがカメラの前に現れると、動体検知が反応し、その前後数秒間の動画を自動録画してくれる機能があるからです。
スマホアプリ画面を見ると、このように録画された映像のキャプチャ画像と日時が並びます。
これを見ていくだけで、親が何時頃に起きたのかや、最後にカメラがその動きを検知して撮影したのがいつなのかもわかります。そしてその時の様子を見れば、外出しようとしていたのか、それとも寝室に行って寝ようとしているところなのかなど推察もできるでしょう。私も、親に電話しても応答がなく、「何かあったのでは・・・」という時にはこの録画映像の一覧を確認します。
この機能、実はランニングコストがかかります。
自動録画された映像データは多くの場合、メーカーが用意した専用のクラウド(インターネット上にあるデータを保存するためのサーバー用コンピューター)に保存され、その月額利用料を払う必要があるからです。
Ringの場合、録画映像を見るなら月額350円もしくは年額3,500円の「Ringプロテクトプラン」への加入が必要となります。もちろん未加入でもいいのですが、それだとLIVE映像を見る機能しか使えなくなり、カメラに親の姿が映っていないと、何の手がかりも得られないことになってしまいます。
購入検討の際には、こうした有料プランの内容や料金についても、しっかり確認してください。複数台設置予定なら、割引料金や台数無制限のプランが用意されていることもあります。
月額料金は払いたくないという場合には、カメラ本体に録画映像のデータを保存できたり、SDカードを挿入できるものを選ぶ必要があります。ただそれだと容量が限られ、停電になったり、空き巣がカメラごと持ち去ってしまった場合には録画映像を遠隔で確認することもできなくなります。
メーカーが途中でネットワークカメラ事業をやめ、クラウドサービスの提供や専用アプリの運用を終了してしまえばネットワークカメラは基本、それまでのようには使えなくなります。なのでたとえスペックやコスパがよくても、名前も知らないメーカーの製品を選ぶのではなく、今後も長期にわたって事業を継続してくれるだろうある程度信頼できる会社の製品をチョイスしたいところです。
・マイクとスピーカーも搭載されていて会話もできる
「Ring Indoor Cam 第2世代」には、マイクとスピーカーもついていて、コミュニケーションツールとしても利用できます。使い方は簡単で、スマホアプリでLIVE映像を見ながら、マイクのアイコンをタップするだけ。双方向の会話を始められます。
これが意外と便利なんです。例えば寝室で親がずっと寝たまま起きてこない時。携帯電話を寝室に持ち込んでいればそこに電話をかけることもできますが、別の部屋に置きっぱなしということもあるでしょう。体調が悪い様子なのに、固定電話を鳴らして親を移動させるのも避けたいところ。
そんな時、寝室に設置しておいたカメラにマイクとスピーカーがあれば、「お母さん、大丈夫?体調悪いの?」など話しかけることができます。急きょヘルパーさんやケアマネ(ケアマネージャー)さんに来訪して様子を見てもらうことになった場合には、その方々を交えて情報交換することもできます。カメラでその場の状況も見えるので、相談なども進めやすくなります。
また玄関や廊下に置いておけば、親がデイサービスや病院などから帰った時に、「おかえりなさい」と声をかけることもできます。最初はきっとちょっと驚かれますが、慣れてくればお互いにバーチャル同居のような感じにもなります。
・もちろん防犯目的で使えて安心
防犯のための様々な機能も搭載していますので、夜間や、あるいは親が長期入院・施設入居などで家が留守の状態になる時には、空き巣の侵入対策としても使えます。
動体検知したらすぐアラート通知をしてもらう設定も可能ですし、大音量のサイレンを鳴らして威嚇することもできます。
最近は全国各地で高齢者を狙った空き巣や強盗なども発生しており、そんな犯罪から実家と親を守るためには、玄関前や外壁などにこうした屋外カメラを設置するのも効果があります。
屋外なら、バッテリーの他、別売りのソーラーパネルを併設して電源供給することもできます。基本機能は屋内のネットワークカメラと一緒で、動体検知で自動録画したり、アラート通知する機能があり、またサイレンを鳴らして不審者を警戒させたりすることができます。
空き巣や強盗は事前に下見をして、どんな人が住んでいるのかや、外出タイミングなどを調べたりすると言います。動体検知による自動録画で、そうした不審者が家の中の様子を伺っている様子も把握できますので、速やかに警察に通報できます。そして犯罪者も、防犯カメラがしっかり取り付けられている家はターゲットから外す可能性も高いでしょう。
・まずは「防犯用途」での導入がスムーズ
よく寄せられる相談にこんなものがあります。
「見守りカメラを設置したいと言ったら、親に渋られた」
いくら子供とは言え、カメラ越しに自分の日常生活を見られるかもと考えたら抵抗ありますよね。私だって同じように感じると思います。
ただ、家の中で転倒・骨折したり、急な発病で動けなくなって、外にも助けを呼べない状況になった時には、「ネットワークカメラを設置しておいたおかげで状況把握がスムーズに行え、必要な対応をすぐとれた」ということもあります。実際に私も、寝室のベッドから落ちて動けなくなっている母をネットワークカメラで発見し、ヘルパーさんや知人に連絡をして急きょ助けに来てもらったことがあります。
また認知症が始まると、電話してもスマホをタップして応答するのが難しくなったりして、なかなか電話に出てもらえず「何かあったのでは」と見守る側がハラハラさせられることが頻発したりもします。そんな時にも、ネットワークカメラで安否確認さえできれば、「なんで電話に出てくれないのよ」とつい文句を言ってしまったりせずに済みます。
・・・という説明で納得してもらえるかというと、そう簡単でもないので、最初はむしろ、見守りとしてでなく「防犯として」の導入から始めるといいのかもしれません。特にご両親二人とも健在だったり、一人暮らしだけどしっかり自立して生活できているのであれば、親と衝突してまで見守りカメラを導入する必要はありません。とりあえず防犯用に使ってもらえば、いざという時には見守りや安否確認に使うこともできますし、親に慣れてもらうこともできるでしょう。
旅行などで家を空ける際には、外出先からスマホで家の中の様子を確認することができるので安心ですし、実家でペットを飼っているならその見守りにも使ってもらえます。
「最近、物騒なニュースも増えていてお母さんのことが心配なの」
そう言ってまずは1台、プレゼントしてみてはいかがでしょうか。
離れて暮らしていても、いつも自分のことを心配してくれている──そんな気持ちがきっと伝わるはずです。