認知症ってなんだろう? vol.2 – 認知症と似た症状について –

認知症って一体どういうことなんだろうか?今回このようなテーマでお送りする連載記事を、医療に関わり、その後、介護付き有料老人ホームの看護職員として長年務められ、多くの認知の入居者に携わり、自らも認知症ケアについて学ばれている、松崎さんに綴っていただいてます。


認知症の周辺症状である暴言暴力で職場の皆がへとへとになっていた時にインターネットで調べて調べて探して探して、藁をも縋る思いで東京から大阪まで認知症セミナーに参加しました。名古屋フォレストクリニックの河野和彦先生のセミナーでした。もうセミナーが終わる頃には一筋の光どころか、感動で大興奮していました。この出会いから先生が立ち上げられた研究会に世話人として参加させて頂き、解散前の2年は代表を務めさせて頂きました。沢山のことを学ばせて頂き実践に繋ぎ経験値を上げてきました。  私が学んだこと、経験したことが少しでも皆さんにお役に立てればと思います。

・認知症と似た症状を起こす病気

1.甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンが不足して身体機能が低下してきます。そのため動きが遅くなったり、脳の活動も緩慢してきますので思考力が落ちたり記憶障害が起きたりします。物忘れ、錯乱、被害妄想が起きることもあります。

甲状腺機能低下症は徐脈や心臓ブロックを起こしやすいので、間違って認知症のお薬である抗認知症薬を処方され内服してしまうと相乗効果で心臓が悪化してしまいます。

甲状腺機能低下症は血液検査でわかります。

その他の症状としては、疲労感、むくみ、寒がり、体重増加、脱毛、徐脈、息切れなどです。

内服薬で改善します。

高齢者の女性は多いです。ほとんどの方がお薬も内服されています。

疑わしい症状があれば、まずは内科を受診して検査してもらいましょう。

2. 正常圧水頭症

頭の中や脊髄に流れる髄液と呼ばれる水が通過障害、吸収障害、過剰分泌などの原因で脳の中心にある脳室に溜まってしまって、脳を圧迫することにより、歩行障害、物忘れ、排尿障害が現れます。

まずはあれ?最近なんだが話のつじつまが合わないよねと認知機能障害から始まり、ワイドベース歩行といって、足の幅を広くして歩く歩行が見られます。そして失禁が目立つようになります。

*記憶障害 *歩行障害 *排尿障害の3大徴候で正常圧水頭症を疑います。

頭部CT、MRIの画像検査とタップテストといって腰椎に針を刺して髄液を30ml程出して歩きがよくなるかなどの神経の改善が確認できるかを診断します。

シャント手術により症状は改善します。髄液を抜くための管(シャント)を埋め込みます。歩行障害はかなりの確率で改善されます。

上記3大徴候がみられたら脳外科に受診され検査をおすすめします。

3. ビタミンB12欠乏症

胃がんで胃の摘出や切除された方はビタミンB12の吸収障害を起こし、ビタミンB12が欠乏していきます。まずは胃摘出されているかを確認されるとよいかと思います。

また悪性貧血なども疑われます。

ビタミンB12が欠乏してくると、記憶障害、妄想、錯乱、無気力がみられます。

ビタミンB12欠乏症は血液検査でわかります。

その他の症状は手足のしびれ感覚消失倦怠感などです。

内服薬、または注射で症状は改善します。

以前、胃がんで全摘された方がいらっしゃいました。主治医の変更でビタミンB12が中止になりました。その後やはり物忘れなどの記憶障害や手がチクチクすると言われてまた内服再開になったことがありました。

・まとめ

 認知症だ!と思いこむ前に別の病気が隠れているかもと疑うことも必要だと思います。今回代表的な①~③の病気を上げさせて頂きました。経験上あれもそうかな、これもそうかもと思うこともあります。また次の機会にUPさせて頂ければと思います。


・お知らせ

今回記事を書いていただいている松崎さんに関するお知らせです。

2023年11月25日 16時 ~ 18時に、松崎さんが副代表を務める「日本認知症研究会」によるセミナーを開催します。「日本認知症研究会」は、医療従事者ではない一般の方にも認知症の知識を身につけていただきたいという想いから立ち上げられた研究会です。

セミナーでは、コロナ発生当初より各種メディアでさまざまな提唱をされてきた長尾和宏先生と、これまで数多くの認知症やパーキンソン病の患者さんを診られてきた中坂義邦先生を講師にむかえての特別セミナーです。

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