いつか訪れるかもしれない家族の高齢化に伴う介護。介護はする人もされる人も、体力的な部分や気持ちの部分で大変なことも多いと思います。
今回は、ご高齢の方や障がいがある人へ、アロマテラピーやタッチケアを提供する一般社団法人アロマウェルビーイング協会の代表理事を務めていらっしゃる原 三智子さんに“介護アロマ”について綴っていただきます。
介護アロマを実践することで、介護者と介護を受ける人双方の心が穏やかになると言われており、原さん自身もご両親の介護の際にアロマテラピーやタッチケアで心身を整えられた経験があるそうです。この連載では、介護アロマの魅力について、お伝えしていきます。
・介護アロマについて
介護アロマと言う言葉を初めて聞かれる人も多いと思います。植物から抽出した香りの成分(精油)を活用し、介護が必要なご高齢の方の嗅覚にアプローチし、脳を活性化し、心を安定させます。難しそうと思われますが、優しい香りを使ったシンプルなアロマテラピーです。
ここでは、専門的に学ばなくても、ご自身で簡単に取り入れることができるアロマの使い方をご紹介します。
精油は、人工的な香りで作られた商品もあるため、アロマ専門店でご購入することをおすすめします。
介護アロマの特徴はこちらです。
1.ストレス軽減
リラクゼーションを促しストレス軽減に役立ちます。特に認知症や不安障害を抱える人々に対して効果的です。
2.睡眠の改善
不眠症や睡眠障害を抱えるご高齢の方に対して役立ちます。リラックス効果がある香りを使用することで、より良い睡眠をサポートできます。
3.身体を整える
筋肉の緊張を緩和し、関節の痛みなどを和らげる効果も期待できます。
4.コミュニケーションの促進
香りやトリートメントを通じて、ご高齢の方と介護者とのコミュニケーションのツールとして役立ちます。感情的なつながりを深めることができます。
・90代の両親の家の匂いの消臭
私は90代の両親の介護を経験し、その道の途中で大きな助けになったのが「香り」です。
実家の部屋の「匂い」が気になったことはありませんか?
ある日、実家に帰ると焦げた魚の匂いが家中に充満していました。両親は匂いには全く気付かず、窓は締め切って換気扇も回していませんでした。
実は、認知症の初期症状は物忘れではなく、嗅覚の衰えが初めにくると言われています。おまんじゅうが腐っていることに気付かず、お客様に出してしまった例もあります。ただ、本人も家族も気付かないことが多いので、なかなか発見しにくい症状です。
部屋の空気を入れ替えてから、アロマテラピーの登場です。ルームスプレーは簡単に作れるので、次にアロマレシピをご紹介します。
・ 消臭効果のあるルームスプレー
ルームスプレーを作って、匂いが気になる部屋やトイレや玄関にスプレーして下さい。
精油にはそれぞれの効能や効果があります。消臭や殺菌効果がある精油をご紹介します。
・レモン
明るい気持ちにさせてくれます。殺菌消毒作用、抗菌作用があります。
・ペパーミント
元気と活力を与えてくれます。抗菌作用、防虫作用があります。
・グレープフルーツ
気分を爽快にしてくれます。殺菌消毒作用があります。
・ルームスプレーの作り方
*好きな香りの精油を3種類までブレンドできます。1種類や2種類のみで作ってもOKです。
【材料】消臭スプレー30ml
・無水エタノール(薬局で購入可能)5ml
・精製水(または軟水のミネラルウォーターや浄水器の水)25ml
・精油合計6滴(3種類までの精油を合計して6滴)
・スプレー容器30ml
【作り方】
1.スプレー容器に無水エタノール5mlを入れる。
2.1のスプレー容器に精油合計6滴を加え軽く振り混ぜる。
3.2のスプレー容器に精製水を加えよく振り混ぜる。
*使用する前によく振り混ぜてからスプレーしてください。
*冷暗所に保存し、使用期限は1カ月位です。早めに使い切るようにしましょう。
介護は体力的にも気持ち的にも負担が大きく、家族は先が見えない介護に疲れてしまいます。
心地良い香りが家の中にあるだけで、家族も両親も共に癒され、数年続く介護が少しでも楽になるよう、みなさんもアロマテラピーを取り入れてみてください。