前回までのあらすじ
ゴミ屋敷と化した家に住む一人暮らしの義祖母。冬の間に火事にならないようにと、義母・夫・わたしの3人は月に1回程度、ゴミ屋敷の掃除をしながら義母とコミュニケーションをとってきました。
冬が終わり暖かくなってきた5月。
義祖母の誕生日をお祝いするために家に行くと、義祖母が行方不明に。義祖母のスマホには連絡がつかず、やむを得ず救急車やパトカーを呼ぶもゴミのせいで救急隊が中に入るのに手間取る事態に。
わたしたち3人はもっと無理矢理でもゴミを片付ければよかったと後悔する中で捜索は続き、数時間後に無事に義祖母を発見しました。
そしてここからは、わたし(孫嫁)が実際に立ち会っていないシーンも多いため、義母から聞いたお話を元に書いていきます。
まずは作戦タイム
このまま義祖母を一人暮らしさせるのは心配、そしてゴミ屋敷も火事にならない程度の片付けでは何かあった時に困るということが分かり、今後どうしていくのかを義母が作戦立てました。
作戦1:人の目を増やすために介護認定のレベルを上げてデイサービスの日を増やす
救急車・パトカー騒ぎのようなことが起きてしまったからには、今後は義祖母に関わる人を増やし、人の目を増やさなければいけません。
しかし、わたしたち夫婦も義母も、義祖母の家からは車で1〜2時間ほどの距離のところに住んでいます。
わたしたち夫婦は月に1回、義母は仕事の合間をぬって数回ほど、義祖母の家に顔を出していましたが、仕事もあるので継続的に会う回数を増やすというのは難しい状況です。
そこで義母は介護認定のレベルを上げて、デイサービスの日をもっと増やす!という作戦に。
もともと義祖母の誕生日のお祝いに駆けつけた日に、義祖母が行方不明で救急車・パトカー騒ぎとなっており、誕生月に行われる直近の介護認定調査を利用しようというわけです。
ちなみにこの当時の介護レベルは「要支援2」でした。
義祖母はすでに利用しているデイサービスに関して、「スタッフの〇〇さんが私のスマホ盗んだ」「充電ケーブルを盗られた」など不満を言っているため、介護認定のレベルを上げ、そしてデイサービスの利用回数を上げるという説得はなかなか難しくなるだろうなとわたしは勝手に思っていました。
でも義祖母は賢い人。義母は、嘘やごまかしが義祖母に通用しないと判断し、正直にこの作戦を本人に伝えることにしたそうです。
●「この前の騒ぎの時、窓際に積み上がっている荷物のせいで、救急隊の人が救助のために家の中に入るのに時間がかかった。」
●「義祖母に何かあった時に私たちはすぐに駆けつけられる距離には住んでいないから心配。」
●「介護認定のレベルが上がればデイサービスをもっと利用できる。」
●「玄関までしか人が入れない状況なのは、義祖母だけの頑張りでは片付かない。手が回っていないということは手助けが必要。」
●「介護認定調査がきたら、家の中はありのまま見せて助けてもらえるように、介護認定のレベルをあげよう。」
●「デイサービスを利用できる日を増やして、お風呂に入れる日を増やそう。」
義母は、「あくまで義祖母は元気なことはわかってはいるけど、救助が困難になるような荷物の扱いに関しては絶対に助けが必要だ」という流れで話しつつ、デイサービスの利用によるメリットを提示して納得してもらったようです。
その後、無事に介護認定は「要介護2」になり、デイサービスを利用できる頻度もアップしました。
介護認定調査の時はすでにお世話になっていたケアマネージャーさんにも立ち会っていただき、初めて玄関の中に入ってもらいました。
(義祖母は疑い深い性格と玄関の中を覗かれることがプライドが許さなかったようで、今まで玄関の外までしかケアマネージャーさんを入れていなかったようです。)
玄関からも家の中の様子が察することができるので、ケアマネージャーさんはとても驚いていたとのことです。
作戦2:なんとしてでもゴミ撤去!家の掃除は業者の手を借りる
そして作戦はもう一つ。今まではお互いのためにも干渉しすぎず、とりあえず火事にならないようにと玄関や居間の掃除をしてきました。
ただこの前の騒動があった手前、このまま現状維持というわけにもいかず業者の手を借りることを検討しはじめました。
幸いにも義祖母は年金を十分な金額給付されており、貯金もいくらかはある状態だったので、義祖母の貯金で家を掃除してもらえるよう促すのが一番良い解決策。
まずは庭の木の剪定、ガレージの撤去、など生活範囲から遠くかつ放っておくと近隣住民の方に迷惑をかけてしまいかねないところから手をつけられないか、様子を見て説得していくことにしました。
義祖母が入院?!話は急展開を迎えます
義母によって作戦1は無事実行され、作戦2を少しずつジャブを打っていたタイミングで、なんと義祖母が熱中症により入院することになりました。
高齢者は体内の水分量が少なく、さらに体温調節機能が衰えているため熱中症になりやすく、また義祖母の家はモノが多いため風の通りも悪かったのが原因ではないかと思われます。
入院したタイミングは夏前。これからどんどん気温が上がっていく中で、あのゴミ屋敷の中に帰すわけにはいかないので病院の先生とも話し合い、しばらく入院することになりました。
義母は正直なところ、入院してくれたことにより火災や孤独死の心配が一時的になくなりホッとしたとのこと。
また義祖母は入院当初は環境が変わった戸惑いか、少し痩せてしまい、元気がないように見えました。
でも、しばらくすると義母に「家から〇〇を持ってきて」とおつかいを頼むようになり、義母曰く「〇〇を持ってこいとは頼まれるけど、あの家に帰りたいとは言わないから、清潔な環境で少し正常な感覚になったのかも?」とのこと。
病院で発覚する義祖母の元気の秘訣
入院生活を送る中で色々と検査をしてもらいました。その中に体年齢(※)という項目があり、なんと義祖母の体年齢は48歳だったのです。
(※口頭での記録を書き起こしているため正式な検査項目名ではないかもしれません。)
この当時、実年齢は93歳なので約半分の体年齢。一人でスタスタ歩くし、耳は少し遠いけど会話に支障はないし、何より一人暮らしができていたので元気だなとは思っていましたが、こんなに若いとは…
なんでこんなに若いのか。義母には思い当たる節がありました。
いつも義祖母家にいくと、義祖母は数分かけて家の中のゴミの山を上り下りし玄関まで出てくるそう。そして床が見えないくらいにモノがあちこちに散乱しているため、部屋の中を歩くにはかなり筋力が必要なんです。
そんな環境で片足立ちしてズボンを履いている様子も見かけたことがあるとのこと。
義祖母の元気な理由はゴミ屋敷で暮らすことで筋肉が鍛えられていたからだということが判明しました。
一つくらいゴミ屋敷にも良いところがあったんですね。
さらなる義母の作戦
義祖母の入院はこのまま夏の終わりまで続くことになります。整った環境、健康的な食事によりどんどん清潔になる義祖母。
正直、家にいた時は家自体がカビ臭く、そこで暮らしている義祖母も独特のにおいがしました。入院期間を経てそのにおいもなくなり、髪の毛もふわっときれいになりました。
見違えるくらい清潔になったので、義母も夫もわたしもあの家に返したくないなという気持ちが強くなり、そこでさらに義母の作戦が練られることに。
気になる義母の作戦は次回に続きます。