介護保険施設とは、介護保険を利用して入所できる公的な介護施設のことです。
この連載では、ケアマネジャーである筆者が、介護保険施設とは何かをはじめ、3つの種類(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院)の違いや特徴、費用、入所条件までわかりやすく解説します。
Q:
介護が必要な母のために、施設入所を検討しています。「介護保険施設」とは、具体的にどのような施設を指すのでしょうか?施設の種類や特徴を教えてください。
A:
「介護保険施設」とは、介護保険を使って入所できる公的施設のことです。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設(老人保健施設)、介護医療院の3種類があります。
今回は、介護保険施設の種類ごとの特徴やサービス内容、費用について紹介していきます。違いを理解しておくと、施設を選ぶときに大いに役立ちますので、ぜひ参考にしてください。
1.介護保険施設とは【種類・特徴をわかりやすく解説】
介護保険施設は、主に地方公共団体や社会福祉法人、医療法人によって運営されています。入所する方の状態や必要とする介護の内容に応じて「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」「介護老人保健施設(老人保健施設)」「介護医療院」の3種類に分けられます。
これらの施設では、介護保険が適用されるため、民間施設よりも比較的安く利用できるのが特徴です。そのため人気が高く、入所までの待ち期間が長くなる場合があります。
【介護保険施設の利用対象】
・65歳以上の人
・要介護認定を受けている
・特定疾病(※)により介護を必要とする40〜64歳の人
※16種類の特定疾病
- がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症※
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

2.介護保険施設の種類と違い(特養・老健・介護医療院)
次に、3種類の介護保険施設の違いについて、詳しく見ていきましょう。
| 福祉系 | 医療系 | ||
| 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) | 介護老人保健施設(老人保健施設) | 介護医療院 | |
| 特徴 | 生活施設として、日常生活全般で手厚いサービスを提供 | ・在宅復帰を目的としたリハビリを行う施設 | ・長期療養が必要な場合に、医療(看護)と介護が受けられる施設 |
| 入所対象 | ・原則、要介護3以上・常に介護が必要で、自宅での介護が難しい人 | ・要介護1以上・入院の必要がなく、医療・介護・リハビリが必要な人 | ・要介護1以上・状態は安定しているものの、長期療養が必要な人 |
| 受けられるサービス | ・食事、排泄、入浴などの介助・日常生活上の支援・療養上の支援・機能訓練・健康管理・看取りなど | ・リハビリ・食事、排泄、入浴などの介助・日常生活上の支援・医療処置・看取りなど | ・医療処置・リハビリ・食事、排泄、入浴などの介助・日常生活上の支援・看取りなど |
| 月額利用料の目安 | 5〜15万円 | 6〜16万円 | 6〜17万円 |
| 全国の施設数※ | 8,494施設 | 4,273施設 | 730施設 |
※参考:厚生労働省「令和4年 介護サービス施設・事業所調査の概況」
特別養護老人ホーム
「生活の場」としての意味合いが強い介護保険施設です。日常生活全般で手厚い介護サービスが受けられ、食事サービスや入浴サービス、排せつ介助のほか、クラブ活動や機能訓練などが提供されます。
入所対象は原則、要介護3以上で、身体上または精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とする方、在宅では適切な介護を受けることが困難な方です。ただし、要介護1・2の方でも、やむを得ない事情がある方は、特例で入所できる場合があります。
介護保険施設のなかで最も数が多い施設ですが、費用が安いうえに、終身利用できることから人気が高く、入所待機者が非常に多いのが実情です。
入所は申し込み順ではなく、介護度の高い人や自宅での生活が困難な人が優先されます。
介護老人保健施設
病院と在宅の中間的な位置付けとなる介護保険施設です。利用者ができるだけ早く在宅生活に戻れるよう、在宅復帰を目標にリハビリを行うことを目的としています。
入所対象は、病状が安定し、入院や治療の必要がない要介護1以上の方です。医師と看護師が常駐する施設のため、日常的に医療処置が必要な方も入所可能です。
老健は、在宅復帰に力を入れている施設のため、入所できる期間は原則、3ヶ月間となります。3ヶ月ごとに状態の改善・回復具合を確認し、リハビリの継続が必要だと判断されると入所期間が延長されます。しかし、実際には特養の待機者対策として、長期入所しているケースも少なくありません。
なお、老健は一度退所しても再入所が可能であり、自宅と老健を行き来しながらリハビリを続けることができます。
介護医療院
介護医療院は、長期療養のための医療と生活施設としての役割を担う介護保険施設です。
2024年3月に廃止された介護療養型医療施設に代わる新しい介護保険施設として、2018年に新設されました。
入所できるのは原則、要介護1以上で、長期療養のために必要な医療サービスと日常生活上のケアが必要な方です。受けられる医療サービスは、経管栄養や喀痰吸引などの日常的な医療管理や病状が急変した際の処置、ターミナルケア、リハビリテーションなどです。日常生活に必要なサービスとして、食事や入浴、排泄介助のサービスも24時間体制で受けられます。
入所にかかる費用は、高度な医療サービスが提供される施設である分、ほかの2つの介護保険施設よりも高めの設定となっています。
全国的に施設の設置数が少ないため、入所を希望する地域に介護医療院がない場合は、範囲を広げて探す必要があるでしょう。
3.介護保険施設の入所までの流れ・手続き

ここからは、介護保険施設へ入所する際の流れについて紹介していきます。
介護保険施設に入所する流れは、以下の通りです。
①要介護認定を受ける
介護保険施設に入所するには、要介護認定を申請し、要介護1以上(特養は原則要介護3以上)の認定を受ける必要があります。申請手続きは、市区町村の介護保険担当窓口または地域包括支援センターで行います。
②入所申し込み
希望する施設に入所を申し込みます。
申し込みをする際には、担当のケアマネジャーや入院中の方は病院のソーシャルワーカーに相談すると、スムーズに手続きが進みます。
また、申し込みをする前には、施設へ足を運び、雰囲気やサービス内容などを確認することをおすすめします。
③面談
施設の相談員との面談が行われます。面談では、入所する方の心身の状態や生活状況などが確認されます。
④入所判定
提出した書類や面談内容をもとに、施設側が入所判定を行います。
⑤契約・入所
入所判定の結果、入所が認められると、契約日および入所日についての連絡が入ります。
契約内容に不明点や疑問点があれば、契約前に施設側に確認しておきましょう。
5.まとめ
介護保険施設は、入所する方の状態や提供されるサービスの内容によって「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」「介護老人保健施設(老人保健施設)」「介護医療院」の3種類に分けられます。
介護保険を利用して入所できる公的施設のため、民間の介護施設よりも比較的安く利用できるのが特徴です。
入所を希望される方は、まずは担当のケアマネジャーや地域包括支援センター、入院している方は病院のソーシャルワーカーにご相談ください。
【介護のきほん|連載一覧】
「介護のきほん」連載の最新回・バックナンバーはこちら:https://oyatoridori.com/archives/tag/kaigokihon
【あわせて読みたい(関連記事)】
・介護保険で受けられるサービス一覧はこちら
・要支援1とはどのような状態?→こちら
・要介護1とはどのような状態?→こちら
・要介護認定の結果が出る前にサービスは利用できますか?:こちら
・ケアプランとは?→ケアプランをわかりやすく解説
・ケアマネジャーとは?→ケアマネジャーの役割を解説





